決然けつぜん)” の例文
おおロケット! どうしたかリーマン博士! 彼はわれわれをこの艇内に押籠おしこめて、地球を後に決然けつぜん大宇宙へ飛ぼうとするのだ!
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
花前は、よどみなく決然けつぜんと答えて平気へいきでいる。話のしりをむすばないことになれてる主人も、ただありませんと聞いたばかりではこまった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
富士男は、こういって決然けつぜんと立った。かれはおさないときから父にしたがって、いくたびか、シドニーとニュージーランドのあいだを航海した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
決然けつぜんというと龍太郎りゅうたろうは、やなぎの根へかけって、わたづなにそえてあるともづなをこころみにグイと引ッぱってみた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よくよく思ひつめたといつた風の、珍しく決然けつぜんたる態度である。何しろ突然のことなので、争ひの内容は皆目わからない。部屋では一同固唾かたずをのんでゐる。
灰色の眼の女 (新字旧仮名) / 神西清(著)
し。」と決然けつぜんとし、長火鉢ながひばちまへはなれたはいが、あまさわやかならぬ扮裝いでたち
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と富士男がうめくようにいった、かれのおもてはあおざめ、ひたいにはたまのような汗が浮いている、だが、星影ほしかげくらくだれも知るよしもない。次郎はさらに決然けつぜんといった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
旅客りよきやくまゆあつするやままたやままゆおほはれたさまに、俯目ふしめたなさぐつたが、ふえとき角形かくがた革鞄かばん洋傘かうもり持添もちそへると、決然けつぜんとした態度たいどで、つか/\とりた。しなに、かへりみてかれ會釋ゑしやくした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああさくは一つしかない」やがて、かれは決然けつぜんといった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたし決然けつぜんとして、ごしらへをしたのであります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)