氏子うぢこ)” の例文
念の爲に下谷へ引返して、徳藏稻荷の氏子うぢこ總代——和泉屋といふ町内の酒屋の主人に逢つて訊いてみると、思ひも寄らぬ新事實があがりました。
當日たうじつしろ狩衣かりぎぬ神官しんくわんひとり氏子うぢこ總代そうだいといふのが四五にんきまりの惡相わるさう容子ようすあとつい馬場先ばゞさきすゝんでつた。一にん農具のうぐつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これが「氏神うぢがみ」と「氏子うぢこ」といふ関係の発生した一原因である。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
これでもいさみの山王さんのう氏子うぢこだ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
われも氏子うぢこの、君もまた
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
その矢先あの騷ぎで、本當に私共まで、どんなに迷惑したかわかりません。親分のお力で一日も早く下手人が捕まるやうに——と、氏子うぢこ一同さう申して居ります
神官しんくわんしよく横手よこてかへ一寸ちよつとしやく指圖さしづをすると氏子うぢこ總代等そうだいら順次じゆんじさかき小枝こえだ玉串たまくしつてしよくまへ玉串たまくしさゝげて拍手はくしゆした。彼等かれらたゞづ/\して拍手はくしゆらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この十日ばかりは小泥棒と夫婦喧嘩位しか無く、平次の見張つて居る明神樣の氏子うぢこは申す迄もなく、江戸の下町一帶は、まことに平穩無事な日が續いて居りました。
下駄げた穿いてつた氏子うぢこ總代等そうだいら乞食こじきしかつたり當番たうばん注意ちういしたりした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日枝ひえ神社の山王祭と共に、御用祭又は天下祭と言はれ、かく年に行はれたこの威儀は、氏子うぢこ中の町々を興奮の坩堝るつぼにし、名物の十一本の山車だしが、人波を掻きわけて、警固の金棒の音、木遣きやりの聲