毛糸けいと)” の例文
旧字:毛絲
さよは、ふところなかから、あか毛糸けいと財布さいふしました。そして、そのなかぜにをおじいさんにやってしまったのであります。
善いことをした喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)
毛糸けいと手袋てぶくろめ、白足袋しろたびに、日和下駄ひよりげたで、一見いつけん僧侶そうりよよりはなか宗匠そうしやうといふものに、それよりもむしぞく
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手に編針あみばりを持つてゐる。毛糸けいとのたまが寝台のしたころがつた。女の手から長い赤い糸がすぢを引いてゐる。三四郎は寝台のしたから毛糸のたまを取り出してやらうかと思つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
政雄まさおは、ねえさんからこさえてもらいました、あか毛糸けいと手袋てぶくろを、学校がっこうからかえりに、どこでかとしてしまったのです。
赤い手袋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
安いからか知りませんが、皆着るようになった。それから一時白い羽織はおりひも毛糸けいとか何かの長いのをこう——結んで胸から背負ってくびに掛けておった。あれも一人るとああなるのであります。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おかあさん、令二れいじにそんなおかねをおやりなさるなら、わたしにも毛糸けいとってちょうだいよ。」
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さよは、叔母おばさんからもらったおあしを大事だいじに、あか毛糸けいとんだ財布さいふなかれてしまっておきました。あきのおまつりがきたら、それでなにかきなものをおうとおもっていました。
善いことをした喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)
さよはそれをたのしみにして、ときどきつくえのひきだしのなかから、あか毛糸けいと財布さいふしては、ってみますと、なかぜにがたがいにって、かわいらしいをたてるのでありました。
善いことをした喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)