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機微
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きび
ふりがな文庫
“
機微
(
きび
)” の例文
たばこ屋に
笑
(
え
)
くぼのある娘をおくように、小間物屋にこの
態
(
てい
)
の男を坐らせておく商法の
機微
(
きび
)
は、今も昔も変りないものとみえました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東風君は真面目で「新体詩は俳句と違ってそう急には出来ません。しかし出来た暁にはもう少し
生霊
(
せいれい
)
の
機微
(
きび
)
に触れた妙音が出ます」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私の申しますのは、このだいこんとだいこんはどうだとか、この水と水とは、このなにとなにとは、どちらが良いか悪いかという
機微
(
きび
)
に触れること。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
八五郎にはその
機微
(
きび
)
がわかり相もありません。
銭形平次捕物控:260 女臼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今彼が新九郎の
機微
(
きび
)
から見出したものは、実に薄衣に包んだ名刀が、
晃々
(
こうこう
)
たる光りをうちに隠して現われないような彼の天才である。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
味方の士気を奮い立たすような正しい言葉を——
機微
(
きび
)
適切な
突嗟
(
とっさ
)
に——いえるような侍ならば、それはよほど千軍万馬往来の士か
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この周到な用意は、またよく人心の
機微
(
きび
)
をもつかんでいる。その時代の性格として、軍民の真の同苦協力はまずむずかしかった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……が、そうした心の
機微
(
きび
)
へつけ入って、ある事、ない事、努めてご兄弟が離反してゆくように、耳こすりする
讒者
(
ざんしゃ
)
もあるから
薪
(
まき
)
に油です
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朱富は
酒店
(
のみや
)
の一亭主だが、
稼業柄
(
かぎょうがら
)
、日常よく人間に接して、世間や人間の
機微
(
きび
)
本質によく通じているせいか、どうして、なかなかな才気だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
機微
(
きび
)
の謀は、秘し得ても、万人か万人とも感ずるところのものは、
滔々
(
とうとう
)
たる潮の勢いにひとしく、これを世人の
耳目
(
じもく
)
から
蔽
(
おお
)
うことはできなかった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もちろんこれは寸前まで味方の士卒のあいだにも兵略の
機微
(
きび
)
を漏らすまいとする万全の用意から出た
揚言
(
ようげん
)
であった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
機微
(
きび
)
を
刎
(
は
)
ね返して、攻撃に出る
遑
(
いとま
)
を与えない敵である。三太刀、四太刀、烈しい
刃風
(
はかぜ
)
に圧倒されつづけたまま
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おもしろいの。連日、小銃一発の音もせず、
寂
(
せき
)
として、戦わざるうちの戦いじゃ。……
妙
(
みょう
)
は、この
機微
(
きび
)
にある」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蝙蝠はまたソロリと寄って
餌
(
えさ
)
をうかがう——その
機微
(
きび
)
なころあいをはかって、呂宋兵衛はスッと、吸う息とともに、蜘蛛を口のなかに引きいれてしまうと
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここで一応、本能寺変の後、それからのわずか五、六日間には過ぎないが、光秀の行動と彼に
蒐
(
あつ
)
まった世の衆目の
機微
(
きび
)
な現われとを、顧みてみる必要もあろう。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と見た秀吉は、その後、人心の
機微
(
きび
)
を
窺
(
うかが
)
って、用うべき小もの大ものを、自由に、蔭であやつってきた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういう人間の
機微
(
きび
)
は分らないのか、無関心なのか、藤吉郎はまるで
遊山
(
ゆさん
)
にでもゆくような笑い声を、時々、山あいの
静寂
(
しじま
)
に発しながら、信長の先頭に立ってゆく。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一方、孔明は、軍を収めて、漢中の営に帰ると、すぐ諸方へ人を派して、魏呉両国間の
機微
(
きび
)
をさぐらせていたが、そこへ成都から尚書
費褘
(
ひい
)
が来て、率直に朝廷の意をつたえた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
範頼
(
のりより
)
に
諮
(
はか
)
ってみても、範頼は煮えきらない
性
(
たち
)
だし、何よりは、政治的な
機微
(
きび
)
がわからない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なお昨日今日あたりは、安土方面に炎々と
黒煙
(
くろけむり
)
が望まれる——といっている旅人もあり、羽柴筑前守殿は、一部の兵をひきいて、はや長浜へ向われたと
機微
(
きび
)
を告げる者もあった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「中国におりながら、そちは却って、甲州方面の
機微
(
きび
)
に詳しいようではないか」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
機微
(
きび
)
を読んで、気むずかしく閉じられた信長の
眉
(
まゆ
)
をほぐす者は、侍臣のうちでもそう多勢はいなかった。藤吉郎と、いまここにはいないが、お気に入りの明智光秀ぐらいなものだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
這般
(
しゃはん
)
の
機微
(
きび
)
と大勢を早くも
観破
(
かんぱ
)
したからである。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰かよくこの
機微
(
きび
)
を感知し得よう。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“機微”の意味
《名詞》
かすかな心の動きや物事の趣き。
(出典:Wiktionary)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
微
常用漢字
中学
部首:⼻
13画
“機”で始まる語句
機
機嫌
機会
機械
機會
機関
機織
機屋
機智
機敏