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本目
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ほんめ
二
本目は
無理に
呑んだ。三
本目にも
醉へなかつた。
宗助は
脊を
壁に
持たして、
醉つて
相手のない
人の
樣な
眼をして、ぼんやり
何處かを
見詰めてゐた。
餘り
遠い
所ではありませぬ。
人通りのない、
故道松並木の
五位鷺は、
人の
居處から五
本目の
枝に
留ります、
道中定り。……
其の
灯の
消殘りましたのは、お
前樣から、
上へ五
本目と
存じます。
二
本目を
吸ひつけた
時、
彼は
不安の
念を
禁じ
得ないのであつた。……
不思議な
伴侶である。
姿に
色を
凝らした、
朦朧とした
女の
抱合つた
影は、
汽車に
事變のあるべき
前兆ではないのであらうか。
「
三い……
四う……
確に五
本目……」