本山ほんざん)” の例文
なお江州ごうしゅうや各地に、僧徒の勢力は、根ぶかく散在しているが、以上三つが、反信長聯盟の三本山ほんざんとして、歴然たる抗争の旗をひるがえしているものだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の体は前岸かわむこうの平らかな岩の上に持って往かれた。彼は三年目にしてはじめて白竜山の本山ほんざんの中へ一歩を入れることができた。彼はよろこんで岩をつとうて往った。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、おまつりというのは、このまちにある、あるしゅう本山ほんざん報恩講ほうおんこうであって、近在きんざいからおとこや、おんなてくるばかりでなく、とおいところからもやってきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
本山ほんざん、というほどの大げさなものでもありませんが、そのお宗旨の本家は××県にありまして、それの支教会が、あの地方の一寸大きい町には大抵あるのです。
盗難 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
とき扇子使あふぎづかひのめて、默拜もくはいした、常光院じやうくわうゐん閻王えんわうは、震災後しんさいご本山ほんざん長谷寺はせでらからの入座にふざだとうけたまはつた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鶴見はこうして、とうとう本山ほんざんから貰ってきたという、比丘尼の称号をすら知らずにすごしてしまった。
ん、はじめのうちは、むら御先祖ごせんぞたちの信仰しんこうのこもったものだからとか、ご本山ほんざんのおゆるしがなければとかいって、ぐずついていたけれど、けっきょくまえよく献納けんのうすることになったよ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
此の住持じうぢは丹波の郷士がうし大庄屋おほじやうやをつとめた家の二男だが、京に上つて学問がたい計りに両親ふたおや散々さん/″\泣かせたうへで十三の時に出家しゆつけし、六条の本山ほんざんの学林を卒業してから江戸へ出て国書を学び
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
其頃岡崎から程近ほどちか黒谷くろたに寺中ぢちう一室ひとまを借りて自炊じすゐし、此処こヽから六条の本山ほんざんかよつて役僧やくそう首席しゆせきを勤めて居たが、亡くなつた道珍和上とも知合しりあひであつたし、う云ふ碩学せきがく本山ほんざんでもはばいた和上わじやう
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)