晩秋ばんしう)” の例文
Kさんのその時分じぶんうたに、わがはしやぎし心は晩秋ばんしう蔓草つるくさごとくから/\と空鳴からなりするといふやうなこゝろがあつたやうにおぼえてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
黄色きいろひかりこゝろよくあざやかに滿ちて晩秋ばんしうみづのやうなあはしもひそかにおりる以前いぜんからこと/″\くくる/\と周圍しうゐまくはじめて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
晩秋ばんしう乾風からかぜ光り
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それを晩秋ばんしうそら悉皆みんなるので滅切めつきりえる反對はんたい草木くさきすべてが乾燥かんさうしたりくすんだりしてしまふのに相違さうゐないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
勘次かんじ田畑たはた晩秋ばんしう收穫しうくわくがみじめなものであつた。それは氣候きこうわるいのでもなく、また土地とちわるいのでもない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)