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ばんしう
それを
晩秋の
空が
悉皆持ち
去るので
滅切と
冴える
反對に
草木は
凡てが
乾燥したりくすんだりして
畢ふのに
相違ないのである。
具清の家は大きくて、城のやうな家なのでしたが、
丁度夏で酒作りをする
蔵男の何百人は、
播州へ皆帰つて居た時だつたのださうです。
押立玄關には
紫き縮緬の幕を
張威儀嚴重に構へたり此時下の本陣には
播州姫路の城主酒井雅樂頭
殿歸國の折柄にて御旅宿なりしが
雅樂頭殿上の本陣に天一坊旅宿の由を
求め
播州室の津に
到りけり當所は
繁華の
湊にて名に聞えたる
室の
早咲町など
遊女町軒を
連ねて在ければ吾助は例の
好色者と言ひ懷中には二百兩の金もあり先此處にて
勞れを慰め
鬱を