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播州
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ばんしう
具清の家は大きくて、城のやうな家なのでしたが、
丁度夏で酒作りをする
蔵男の何百人は、
播州へ皆帰つて居た時だつたのださうです。
押立玄關には
紫き縮緬の幕を
張威儀嚴重に構へたり此時下の本陣には
播州姫路の城主酒井雅樂頭
殿歸國の折柄にて御旅宿なりしが
雅樂頭殿上の本陣に天一坊旅宿の由を
求め
播州室の津に
到りけり當所は
繁華の
湊にて名に聞えたる
室の
早咲町など
遊女町軒を
連ねて在ければ吾助は例の
好色者と言ひ懷中には二百兩の金もあり先此處にて
勞れを慰め
鬱を