易者えきしゃ)” の例文
「それはめでたいこった。きっと美代子みよこ病気びょうきはなおってしまうだろう。」と、ちょうどあのかみながい、易者えきしゃがいったようなことをいわれました。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「上総屋の案内を知った者が、幾日かかっても解らないというのに俺が行ったところで解るわけはない。そいつは岡っ引より易者えきしゃへ行く方が早いぜ」
「お前は知らねえのか、ついこの間お邸に見えた藤崎周水という易者えきしゃがよ、あれが実は水戸の人で山崎譲という人だ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
他の部屋には人夫にんぷ蝙蝠傘こうもりがさ直しや易者えきしゃ手品師てじなしたたき大工といったような手輩てはいが一緒くたにゴタゴタ住んでいた。
「おや、もう一時。ちょっと、朝のうちに、お薬師様へお詣りして、帰りに、西の橋の易者えきしゃがよくあたるというので、て貰って来たりしたものですからね」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分でも興味が出て来て研究しますから、好い加減な易者えきしゃよりも造詣ぞうけいが深い積りです。博士になる筈ですよ
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
叔母は易者えきしゃの手紙をひろげたなり、神山と入れ違いに来た女中の美津みつと、茶を入れる仕度にいそがしかった。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御米は歩き歩き、着物を着換える時、箪笥を開けたら、思わず一番目の抽出の底にしまってあった、新らしい位牌に手が触れた事を思いつづけて、とうとうある易者えきしゃの門をくぐった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わか易者えきしゃは、かれ先生せんせいから、いかなるばあいでも、相手あいて希望きぼうたせることをわすれてはならぬといましめられた、そのおしえを実行じっこうしたまでです。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「話し声に目がさめると、隣の部屋で、伊兵衛と易者えきしゃ馬春堂ばしゅんどうがコソコソ話し合っています」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「とんでもない。娘はそれからも二三度姿を見せましたが、一言も口を利くことはございません。空葬式を出せと言ったのは、それ、伝法院の前にいつも出ているあの易者えきしゃ——」
山崎と呼ばれた男は易者えきしゃのような風をしていたが、浴室の中へ入って来て小さい声で
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
思案に沈んでいるあわれな人に、易者えきしゃがどんな希望と不安と畏怖いふと自信とを与えるだろうという好奇心にかされて、面白半分、そっと傍へ寄って、陰の方から立聞たちぎきをする事がしばしばあった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「見れば見るほど好くなりますって、易者えきしゃが申していました」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
やがて、大通おおどおりへようとすると、路地ろじかたすみに、ちょうちんをつけた、易者えきしゃのいるのが、はいりました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さては、飼犬かいいぬに手を噛まれたのか。——持ち逃げの下手人はボロ易者えきしゃと道中師。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「黙っていろ、医者や易者えきしゃの心得もなきゃ御用は勤まらないぞ」
このとき、あつまった人々ひとびとなかから、頭髪かみながくした易者えきしゃのようなおとこまえてきました。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あの易者えきしゃは当りませんよ。
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)