新発田しばた)” の例文
越後の新発田しばたから上京すると、馬庭が順路に当るから、自然念流の門を叩くようになったらしく、三年間内弟子の修業をしたそうだ。
奥州から越後の新発田しばた、村松、長岡ながおか小千谷おぢやを経、さらに飯山いいやま、善光寺、松本を経て、五か月近い従軍からそこへ帰って来た人がある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さて新道が出来ると人力じんりきが通る。荷車は干魚ほしうをなどを積んで通る。郵便脚夫きやくふが走る。後には乗合馬車のりあひばしやが通り、新発田しばたの第十六聯隊れんたいも通つた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
日本でも上杉家の勇将新発田しばた因幡守治長は、染月毛てふ名馬の、尾至って白きを、あかねの汁で年来染むると、真紅の糸を乱し掛けたごとし。
その勢いに撃退されて、柿崎和泉の隊はいちど四散したが、同じ上杉方の新発田しばた尾張守の隊が、諸角隊の側面を撃って来た。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法諡はふしして恭徳院と云ふ。室は新発田しばた藩主溝口主膳正直溥なほひろぢよで、子は無かつた。棠軒は遺物「黒絽御羽織」並金帛を賜つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
新発田しばたより(蒲原郡)東北加治かぢといふ所と中条といふ所の間みちかたはら田の中に庚申塚あり、此塚の上に大さ一尺五寸ばかりのまろき石をちんしてこれをまつる。
母をオウカチャマという越後の新発田しばた辺ではオガチャマゴト、主婦がジャジャと呼ばれる秋田県の北部ではジャジャボッコというのがままごとのことである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大倉喜八郎おおくらきはちろうの祖父、越後北蒲原えちごきたかんばら新発田しばた町の豪商大倉定七さだしちの墓碑銘を、頼山陽らいさんようが頼まれて、起筆して曰く
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
有名の新発田しばたの十万石、今は日本においてたぶん富の中心点であるだろうという所でございます。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
こんど新発田しばた溝口みぞぐち家へ召出され、妻子もあとから来るという。浪人生活からぬけ出せたことがよほどうれしいのだろう、茶を味わうようすまでいかにもたのしそうに見えた。
榎物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その聯隊れんたいの秋季機動演習は、会津あいづ若松わかまつ近傍きんぼうで、師団演習を終えて、のち、我聯隊れんたいはその地で同旅団の新発田しばたの歩兵十六聯隊れんたいと分れて、若松から喜多方きたかたを経て、大塩峠おおしおとうげを越え、磐梯山ばんだいさん後方うしろにして
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
右備 新発田しばた尾張守
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
同じ著者が越後の新発田しばたへ旅行したことがあるらしく、南国の蝙蝠に関聯して、雪国で見た陰鬱な蝙蝠の思ひ出を語つてゐる。
気候と郷愁 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
新発田しばたより(蒲原郡)東北加治かぢといふ所と中条といふ所の間みちかたはら田の中に庚申塚あり、此塚の上に大さ一尺五寸ばかりのまろき石をちんしてこれをまつる。
マチマイ 越後の旧新発田しばた領などには、年貢米と町米とにも差等があった。前者は一俵四斗と二三升で、俵は二重、これを散田さんでん作りといい、後者は一重俵で六斗入であった。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
新発田しばたの寺崎某、山形の志村玄叔等で、其他猶津山、をし、庄内等の子弟があつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
長尾遠江守——中条越前守——柿崎和泉守——甘糟あまかす近江守——宇佐美駿河守——和田喜兵衛——石川備後びんご——村上左衛門尉義清——毛利上総介かずさのすけ——鬼小島弥太郎——阿部掃部かもん——直江大和守——鮎川摂津守せっつのかみ——高梨政頼——新発田しばた尾張守
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この著者は越後新発田しばたに旅行した事があるものとみえ、この南国の風景に関聯して雪国でみた蝙蝠の思ひ出を述べてゐる
北と南 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
その男の卒業して直ぐの任地が新発田しばただったのだ。御承知のような土地柄だろう。裁判所の近処きんじょに、小さい借屋をして、下女を一人使っていた。同僚が妻を持てと勧めても、どうしても持たない。
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
新発田しばたきく女、頸城くびき郡のそう知良、近くは三嶋郡村田村の百合ゆり女(百姓伊兵衛がむすめ)新発田しばた荒川あらかは村門左エ門(百姓丑之介がせがれ)塚原つかはら豆腐売とうふうり春松(鎌介がせがれ)蒲原郡釈迦塚しやかつか村百姓新六
警備の武士は新発田しばた藩から駈けつけたが、街角を右往左往の警備の武士を見ることに怯えきつた町民達は、白昼から窓を閉して暗らがりの中にひれふしてゐた。列国の領事館が立ちはじめた。
母を殺した少年 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
新発田しばたきく女、頸城くびき郡のそう知良、近くは三嶋郡村田村の百合ゆり女(百姓伊兵衛がむすめ)新発田しばた荒川あらかは村門左エ門(百姓丑之介がせがれ)塚原つかはら豆腐売とうふうり春松(鎌介がせがれ)蒲原郡釈迦塚しやかつか村百姓新六