故郷こきよう)” の例文
『いや/\、わたくしかへつて、天外てんぐわい※里ばんり此樣こんしまから、何時いつまでも、君等きみら故郷こきようそらのぞませることなさけなくかんずるのです。』と嘆息たんそくしつゝ
見すてて我れ今故郷こきようにかへらば残れる身の心ぼそさいかばかりなるべき、あはれなるは継子の身分にして、俯甲斐ふがひないものは養子の我れと、今更のやうに世の中のあぢきなきを思ひぬ。
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
給仕女きゆうじをんな故郷こきよう風俗ふうぞくをしておきやく給仕きゆうじるといふふうになつてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ひとらば可笑をかしかるべきうぬぼれも手傳てつだひて、おぬひのことといへばことのようによろこびもしいかりもしてつるを、すてゝいま故郷こきようにかへらばのこれるこゝろぼそさいかばかりなるべき
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
隨分ずゐぶん故郷こきようそらなつかしくなつたこと度々たび/\あつた——むかし友人ともだちことや——品川灣しながはわん朝景色あさげしきや——上野淺草うへのあさくさへん繁華にぎやかまちことや——新橋しんばし停車塲ステーシヨンことや——回向院ゑこうゐん相撲すまふことや——神樂坂かぐらざか縁日えんにちことや——よろづ朝報てうほう佛蘭西フランス小説せうせつことや——錦輝舘きんきくわん政談せいだん演説えんぜつことや——芝居しばゐこと浪花節なにはぶしこと