はだ)” の例文
見よ、お由の顏! 齒を喰縛つて、眼を堅く閉ぢて、ピリ/\と眼尻の筋肉が攣痙ひきつけてゐる。髮は亂れたまゝ、衣服きものはだかつたまゝ……。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
はだけた患者の大きい下腹が、呼吸いきをするたびにひこひこして、疲れた内臓の喘ぐ音が、静かな病室の空気に聞えるのであった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
貫一はさすがに驚けり、宮がきぬはだけてゆき可羞はづかしあらはせる膝頭ひざがしらは、おびただしく血に染みて顫ふなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
……ぞ苦しかったでしょう、乳を透して絽の紅い、其処の水が桃色にうっすりとからんでいる、胸を細く、両手で軽く襟を取って、はだけそうにしていたのが、貴方がその傍にお寄りなさいました煽りに
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見よ、お由の顔! 歯を喰絞つて、眼を堅く閉ぢて、ピリピリと眼尻の筋肉にく痙攣ひきつけてゐる。髪は乱れたまま、衣服きものはだかつたまま……。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
下町育ちらしい束髪の細君が、胸をはだけてしなびた乳房を三つばかりの女の子にふくませている傍に、切り髪のしゅうとめや大きい方の子供などもいた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其麽時は、無精者の母親がよく健の前へ來て、抱いてゐる梅ちやんといふ兒に胸をはだけて大きい乳房を含ませながら
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お銀は白い胸をはだけながら、張り詰めた乳房をふくませると、子供の顔から涙を拭き取って、にっこり笑って見せた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其麽そんな時は、無精者の母親がよく健の前へ来て、抱いてゐる梅ちやんといふ児に胸をはだけて大きい乳房を含ませながら
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
刃物をぎ取られた芳太郎が、はだけた胸を苦しげな荒い息に波立たせながら上へ引っ張りあげられると、お庄も壊れた頭髪かみを手で押えながら真蒼まっさおになって物置を出て来た。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
垢だらけの胸をはだけて乳をやる母親は、鼻が推潰した樣で、土に染みた髮は異な臭氣を放つて居たが、……噫、淺間しいもんだ那麽あんな時でも那麽あんな氣を、と思ふと其をつと
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
母は負ぶいひもき、腕を伸ばしてにこにこかすりの負ぶい絆纏ばんてんえりはだけて
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
垢だらけの胸をはだけて乳をやる母親は、鼻が推潰おしつぶした様で、土に染みた髪は異な臭気を放つて居たが、……噫、浅間しいもんだ、那麽あんな時でも那麽気を、と思ふと其をつと
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
唖のお政は私より二歳ふたつ年長としうへ、三番目一人を除いては皆女で、末ツ児はまだを飲んでゐた。乳飲児を抱へて、大きい乳房を二つともはだけて、叔母が居睡ゐねむりしてる態を、私はよく見たものである。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
市の中央の大逵おほどほりで、然も白晝、穢ない/\女乞食が土下座して、垢だらけの胸をはだけて人の見る前に乳房を投げ出して居る! この光景は、大都乃至は凡ての他の大都會に決して無い事、否
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
市の中央の大逵おほどほりで、然も白昼、きたない/\女乞食が土下座して、垢だらけの胸をはだけて人の見る前に乳房を投げ出して居る! この光景は、大都乃至は凡ての他の大都会に決して無い事、否
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)