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ごじしん
敦子さまが、こちらで
最初置かれた
境涯は
随分みじめなもののようでございました。これが
敦子さま
御自身の
言葉でございます。——
『
痴人め!』
女王樣は
焦心ッたさうに
御自身の
頭を
突き
出して
申されました、それから
愛ちやんに
振向いて、『
何と
申す
名ぢや?
子供』
そこで、
私の
心配するのは、
義侠な
大佐閣下は、
吾等の
大難を
助けやうとして、
御自身に
危險をお
招きになる
樣な
事はあるまいか。
こそならべて
見たしと
我すら
思ふに
御自身は
尚なるべし
及ぶまじきこと
打出して
年頃の
中うとくもならば
何とせん
夫こそは
悲しかるべきを
ただ
其折弟橘姫様御自身の
口づから
漏された
遠き
昔の
思い
出話——これはせめてその
一端なりとここでお
伝えして
置きたいと
存じます。
それからもう
一つ
爰でくれぐれもお
断りして
置きたいのは、
私がお
取次ぎすることが、
決して
姫御自身のお
言葉そのままでなく、ただ
意味だけを
伝えることでございます。