御法みのり)” の例文
鳥部野とりべの一片のけむりとなって御法みのりの風に舞い扇、極楽に歌舞の女菩薩にょぼさつ一員いちにん増したる事疑いなしと様子知りたる和尚様おしょうさま随喜の涙をおとされし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「おもとのような善人が、会うべき御法みのりの光にも浴さず、闇から闇を拾うて生きていることの、何ぼう不愍にも思われるのじゃ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思へば六とせそのかみに、たへ御法みのりををさめんと、わが故郷ふるさとを後にして、深雪みゆきの山に旅寝たびねして、ボウダの国に入りにしが、今また雪の山に来て
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これで御法みのりの船に同じい、御堂おどうえんを離れさえなさらなかったら、海におぼれるようなことも起らなんだでございましょう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
君が問ひ給ふは、九三往古いにしへより論じ尽さざることわりなり。かの仏の御法みのりを聞けば、九四富と貧しきは前生さきのよ脩否よきあしきによるとや。九五あらましなる教ぞかし。
或人の句に「残雪や御法みのりの不思議蓮華山」とあるからは、これも一朶の白蓮華、晶々たる冬の空に、高くかざされて咲きにおうから、名づけられたのかも知れない。
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
極楽の御法みのりの舟に乗りたくば、胸の塵をばよっく鎮めよ、と御詠歌の歌にもございます。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
御法みのり説かしき。雀子をしみたまへば雀子も慕ひまつりき。雀子にもきやすき御言葉なれば、雀子も御言葉ををろがみまつり、羽根をすりつむりさげてき。またちゆんちゆんと鳴いたりき。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わくらはに遇ひし御法みのりの花の香は聴きしめてこそ身ににほひけれ
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
絶えぬべき御法みのりながらぞ頼まるる世々にと結ぶ中の契りを
源氏物語:41 御法 (新字新仮名) / 紫式部(著)
木々紅葉もみじせねばやまざる御法みのりかな
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
天つ御法みのりのおん宣告つげ
茴香 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
わが浄土門他力の御法みのりはいかにといえば、かの竜樹菩薩りゅうじゅぼさつも仰せられたごとく——仏法に無量の門あり、世間の道になんありあり、陸路のあゆみはすなわち苦しく
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
難波江の蘆の枯葉をわたる風をも皆御法みのり説く声ぞと聞き、浮世をよそに振りすてゝ越えし鈴鹿や神路山、かたじけなさに涙こぼれつ、行へも知れず消え失する富士のけぶりに思ひをよそ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
御法みのり説かしき。雀子をしみたまへば、雀子も慕ひまつりき。雀子にもきやすき御言葉なれば、雀子も御言葉ををろがみまつり、羽根をすりつむりさげてき。またちゆんちゆんと鳴いたりき。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と見ると、仏壇にあかりいて、老人としよりが殊勝に坐って、御法みのりの声。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
犬猫の身にも生れず人の世に御法みのりきけとていだしましけん
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
君が袈裟けさ御法みのりの花衣
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
たへ御法みのりにもひけり
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
樹にふるる風の音さへ御法みのりなるたのしき国に今ぞ到らん
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)