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御孃
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おぢやう
宗助は
暗い
座敷の
中で
默然と
手焙へ
手を
翳してゐた。
灰の
上に
出た
火の
塊まり
丈が
色づいて
赤く
見えた。
其時裏の
崖の
上の
家主の
家の
御孃さんがピヤノを
鳴し
出した。
其晩小六は
大晦日に
買つた
梅の
花の
御手玉を
袂に
入れて、
是は
兄から
差上げますとわざ/\
斷つて、
坂井の
御孃さんに
贈物にした。
其代り
歸りには、
福引に
當つた
小さな
裸人形を
同じ
袂へ
入れて
來た。
「
坂井の
御孃さんにでも
御上げなさい」と
云つた。