御咎おとが)” の例文
あづか迷惑めいわく千萬の事なり生物いきものの事故如何なる異變いへんあらんもはかり難し然る時は又御咎おとがめの程も知ざれば請出せし上何分にも願ひ上て娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かやうな粗相を仕出来しでかしては、そちばかりではない、この十太夫もどのやうな御咎おとがめを受けうも知れぬ。こりや飛んでもないことに相成つたぞ。
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「しかし絵の方は羨ましいやうですな。公儀の御咎おとがめを受けるなどと云ふ事がないのは何よりも結構です。」
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もともと自分は大兄をはじめ、くなった姉さんの御咎おとがめを受けるつもりで遠い旅から帰って来たものである、それにもかかわらず平然として今日に到ったと書いた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かごなかなる何某なにがしづるにもでられず、おほせにそむかば御咎おとがめあらむと、まじ/\として煙草たばこへば、幼君えうくん左右さいうかへりたまひ、「いまこそかね申置まをしおきたる二人前ににんまへ料理れうりまゐれ」とめいぜらる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この著さいわいにして版を重ねき。易風社店を閉ぢし時籾山書店『歓楽』の紙型を買取り店員某の名儀を以て再びこれを出版す。然る処この度は何の御咎おとがめもなく今に至つてなほ販売せりといふ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
御咎おとがめもなく却て御目見めみえ仰付おほせつけられし事冥加みやうが至極しごく有難き仕合しあはせなり方ぢやう樣へ御願ひと申すは別儀べつぎにあらず私し主人儀無實の罪におちいり近々御所置に相成あひなるに付何卒御ころもの袖を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)