強力がうりき)” の例文
串戯じやうだんはよして、些細さゝいことではあるが、おなじことでも、こゝは大力だいりきい。強力がうりき、とふと、九段坂だんざかをエンヤラヤにこえてひゞきわるい。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先年陸奥みちのくの戦ひに餓ゑて人の肉を食つて以来、鹿の生角いきづのさへ裂くやうになつたと云ふ強力がうりきの侍が、下に腹巻を着こんだ容子で、太刀を鴎尻かもめじりらせながら
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
曼舟氏は義足を曳きずりながら、よちよちあとから登つて往つた。うしろには強力がうりきがついてゐた。ごろた石の多い岨道そばみちへ来ると、熊笹のかげからいきなり飛出して来たものがある。
それに人並外れた強力がうりきを持つてゐる彼は、どんな乱暴をするかも分らなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
實に非凡な強力がうりき
これには流石にあの強力がうりきの侍でさへ、思はず色を變へて、畏る/\大殿樣の御顏を仰ぎました。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ところで、随筆ずゐひつ出処しゆつしよだとすると、なんのために、奥州おうしう越前ゑちぜんうつして、越中ゑつちう備中びつちうにかへたらう、ソレあるひは越中ゑつちうふんどしひゞいて、強力がうりき威厳ゐげんきづつけやうかの深慮しんりよたのかもはかられぬ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
強力がうりき道心8・13(夕)
これには流石にあの強力がうりきの侍でさへ、思はず色を変へて、畏る/\大殿様の御顔を仰ぎました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これは越前ゑちぜん名代なだい強力がうりき一日あるひ狩倉かりくら大熊おほくま出逢であひ、てるやりくまのために喰折くひをられこと鉄拳てつけんげてくまをば一けんもと打殺うちころしこの勇力ゆうりよくはかくのごとくであるとくまかは馬標うまじるしとした。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)