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引手繰
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ひったく
ふりがな文庫
“
引手繰
(
ひったく
)” の例文
手
(
て
)
ン
手
(
で
)
に
喧
(
かまびす
)
しく
己
(
おの
)
が
家号
(
やごう
)
を
呼立
(
よびた
)
てる、中にも
烈
(
はげ
)
しいのは、
素早
(
すばや
)
く手荷物を
引手繰
(
ひったく
)
って、へい
難有
(
ありがと
)
う
様
(
さま
)
で、を
喰
(
くら
)
わす、頭痛持は血が上るほど
耐
(
こら
)
え切れないのが
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分で自分を思いやると、急に胸が込上げて来て、涙は醜い顔を流れるのでした。やがて、思いついたように馬の傍へ
馳寄
(
かけよ
)
って、力任せに手綱を
引手繰
(
ひったく
)
りましたんです。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尾根に出ると風がワアッと
搦
(
から
)
みつく、そして油断した人の体から帽子手拭其他何でも
引手繰
(
ひったく
)
るようにさらって行く。白い霧の群れが老女の乱れ髪のように
縺
(
もつ
)
れ合って、目の前をすうと流れる。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「金さん!」と女は
引手繰
(
ひったく
)
るように言って
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
おぬい (手紙を
引手繰
(
ひったく
)
り披く)
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
▼ もっと見る
人も無げに笑う手から、
引手繰
(
ひったく
)
るように切符を取られて、はっと駅夫の顔を見て、きょとんと
生真面目
(
きまじめ
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人
剥
(
む
)
いていた柿を
引手繰
(
ひったく
)
る、と仕切に
肱
(
ひじ
)
を立てて、
頤
(
あご
)
を、
新高
(
しんたか
)
に居るどこかの島田
髷
(
まげ
)
の上に突出して、
丸噛
(
まるかじ
)
りに、ぼりぼりと
喰
(
くい
)
かきながら、(
留
(
や
)
めちまえ、)と舞台へ
喚
(
わめ
)
く。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
安値
(
やす
)
いものだ。……私は、その言い値に買おうと思って、声を掛けようとしたが、
隙
(
すき
)
がない。女が手を離すのと、笊を
引手繰
(
ひったく
)
るのと一所で、古女房はすたすたと土間へ入って
行
(
ゆ
)
く。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
退
(
すさ
)
って廊下へ手を
支
(
つ
)
くと、(あやまるに及ばん、よく、考えて、何と計らうべきか、そこへくい附いて分別して返答せい。……石になるまで、
汝
(
わり
)
ゃ動くな。)とまた柿を
引手繰
(
ひったく
)
って
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうすると、手帳へこんやおまえのとこへとまりにゆくよ、と、あの、これを書きましたから、私
引手繰
(
ひったく
)
って、脱いだ筒袖と前垂とを
抱
(
かか
)
えるか抱えないに、
家
(
うち
)
へ
駈
(
か
)
け出して帰ったんです。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、うっかりらしく手に持った女の濡手拭を、
引手繰
(
ひったく
)
るようにぐいと取った。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引手繰
(
ひったく
)
るや否や、
肥
(
ふと
)
っているから、はだかった胸へ
腋
(
わき
)
の下まで
突込
(
つっこ
)
んだ、もじゃもじゃした胸毛も、
腋毛
(
わきげ
)
も、うつくしい、
情
(
なさけ
)
ない、浅間しい、
可哀相
(
かわいそう
)
な
婦
(
おんな
)
を
揉
(
も
)
みくたにして、
捻込
(
ねじこ
)
んだように見えて
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
繰
常用漢字
中学
部首:⽷
19画
“引手”で始まる語句
引手
引手茶屋
引手数多
引手奪
引手夥多
引手金具