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こうはん
ふりがな文庫
“
広汎
(
こうはん
)” の例文
秀吉は、この栄を、さらに、家臣にも
頒
(
わか
)
つべく、七本槍の若者以下、有功の将三十六人、その他へも、
広汎
(
こうはん
)
な論功行賞を同時にした。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少なくとも
文化
(
ぶんか
)
文政
(
ぶんせい
)
頃までは
溯
(
さかのぼ
)
ろうと思う。極めて多量に生産せられた
揃
(
そろ
)
いものであって、販売せられた分布区域もはなはだ
広汎
(
こうはん
)
である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
あの超電撃的地球儀的
広汎
(
こうはん
)
大作戦が、
真実
(
しんじつ
)
に日本軍の手によって行われたその恐るべき大現実に、爆風的圧倒を
憶
(
おぼ
)
えない者は一人もなかった。
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし以上のように同じ季題であってもその用い方に軽重がありますからいま少し
広汎
(
こうはん
)
な意味のものとしたいのであります。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
私は非合法の仕事はしていたが、ダラ幹の組合員の一人として
広汎
(
こうはん
)
な合法的場面で、反対派として立ち働いていたのである。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
ともかく、私が知っていると思われる限りではこの流刑地でひどく
広汎
(
こうはん
)
な権限をもっている司令官の意見に比べたらずっと意味がないものです。
流刑地で
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
遥かなる過去の一時期に西は
埃及
(
エジプト
)
から東は米大陸に至るまでの
広汎
(
こうはん
)
な地域を蔽うた共通の「古代文明の存在」を仮定する。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
広汎
(
こうはん
)
な群集はひっそりと静まっていた。ラファイエットがラマルクに別れの弔辞を述べた。悲痛森厳な瞬間で、人々は皆帽をぬぎ胸をおどらした。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
出三郎は
腑
(
ふ
)
におちなかった。あとでわかったのだが、半兵衛は藩政の
広汎
(
こうはん
)
な改革を計画し、そのために領内全般へ、ひそかに下調査の手をのばしていた。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
夙
(
はや
)
くから問題になっているが、これらは大切な国語史の資料として、別にまた
広汎
(
こうはん
)
な比較方法により、行く行く復活して見られる見込みのあるものである。
和州地名談
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いかさまめくられた紙の面には、山岳と森林と大きな河と、
突兀峨々
(
とっこつがが
)
としてつらなっている岩とによって形作られている所の
広汎
(
こうはん
)
の地図が描かれてあった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして
広汎
(
こうはん
)
な公衆の関心と大衆的信頼をともなう発展と、名声の栄光もあいきょうもなしに実現される発展とが、ことなった経路をとらないわけがあろうか。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
その
広汎
(
こうはん
)
な思想に包まれて、千八百七十年前後の激しい争闘の時代を、生きて来たのであった。そして彼はドイツを尊びながらも、ドイツを「光栄」とはしなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その中間に先にみたような
広汎
(
こうはん
)
な中間層があって、それが独自の中間政党を持つこともあるが、そうでない場合は、この中間層が保守勢力に付くか、革新勢力に付くかは
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
HとSとの間に、かなり
広汎
(
こうはん
)
な区域に亘って、森林地帯があった。そこには山があり、大きな谷があった。森林の中を貫いて、河が流ていた。そのあたりの地理は詳細には分らなかった。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
まだその
広汎
(
こうはん
)
な理解と燃えたぎる深い内心の欲求とを寸分も生かしておらぬのに、孫四郎はともかくその卑俗な趣味の偏狭に徹底して、それを自家の製作のうえに生かし、
悠々
(
ゆうゆう
)
自適している。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
山嶮
(
さんけん
)
、
湖沢
(
こたく
)
、
城市
(
じょうし
)
、
塁寨
(
るいさい
)
、平野など、さしも
広汎
(
こうはん
)
な天地に雄大な構想を展じ、布陣の
対峙
(
たいじ
)
久しかったこの大会戦も、その念入りな仕切りのわりに
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広汎
(
こうはん
)
なる進歩を目ざすようになり、偉大なるフランスの共和をして広大なる人類の共和たらしむることを、最後の壮大な革新として受け入れるに至った。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今はすでに衰え
幽
(
かす
)
かになっているものを、伝承の側から次々と考えて行きたいのだが、問題があまりに
広汎
(
こうはん
)
なので、よほど多くの同志の協力を必要とする次第である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
婦女の
掠奪
(
りゃくだつ
)
や、
奴隷
(
どれい
)
の売買や、氏族外結婚制などにより、血の混交は
広汎
(
こうはん
)
に行われていたのであって、そもそも人種を区別する科学的標準というものは、今でもまだ確立されていないのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
広汎
(
こうはん
)
に
亙
(
わた
)
りすぎて、知るを得なかったが、この方面の、幕府にとっての危険なる欠陥も、ゆるがせに出来ないものになっていることは、間違いない。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それがこの通り興味ある豊富の
痕跡
(
こんせき
)
を後代に
留
(
とど
)
めていたのである。地名の研究は
広汎
(
こうはん
)
なる人類学の中では、実際はほんの片端であって、しかも他の部門とは下に行き通うている。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
当時フランスには、ドイツのツーゲンドブンドやイタリーのカルボナリのごとき、
広汎
(
こうはん
)
な下層の結社組織はまだ存していなかった。しかし所々に、秘密な開発が行なわれ、枝をひろげつつあった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
事務員などという
広汎
(
こうはん
)
な中間層がある。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
そんなふうに
広汎
(
こうはん
)
に
観
(
み
)
たら限りもないが、要するに、武者修行と、武者修行的な人間の心的事業は、いつに始まって、いつに終るというものではない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暗黒の中を往来し上下して、おもむろに上層と下層とを置き換え外部と内部とを交代せしむる、その
広汎
(
こうはん
)
なる一斉の活動を、何物も止め妨ぐることはできない。それは隠れたる広大なる
蠢動
(
しゅんどう
)
である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかし、その援軍も、この
広汎
(
こうはん
)
な泥水をながめては、手も出せなかった。——そして刻々と、実に刻々のうちに、城兵五千の餓死は迫っていたのだった。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この愚をもっとも
広汎
(
こうはん
)
に演じ、また、最も深刻に経験し、同時に早くから悟り、たれよりも深く考えていたのは、古い歴史をもつ中華の禅僧たちであった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野口城を陥し、端谷城を
奪
(
と
)
り、順次、神吉の
神吉長則
(
かんきながのり
)
や、志方の櫛橋治家などの塁も衝き、別所一族の領土とする
広汎
(
こうはん
)
な地域にわたって、放火、
掃蕩
(
そうとう
)
、迫撃の手を強めていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“広汎”の意味
《名詞》
範囲が広いこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
広
常用漢字
小2
部首:⼴
5画
汎
常用漢字
中学
部首:⽔
6画
“広”で始まる語句
広
広場
広東
広重
広々
広間
広小路
広野
広漠
広袖