年中ねんぢゆう)” の例文
又下町の大通のやうにねん年中ねんぢゆう、水道と瓦斯ガス溝掃除どぶさうぢで、掘り返されてもゐないので、全く歩くべき道として、静に心安く歩くことが出来る。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かれいまから數時間すうじかんのちまた年中ねんぢゆう行事ぎやうじのうちで、もつとひとこゝろあらたにすべく仕組しくまれた景物けいぶつ出逢であはなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此莊園でラクダルはゴロリところがつたまゝ身動みうごきもろくにず、手足てあしをダラリのばしたまゝ一言ひとことくちひらかず、たゞ茫乎ぼんやりがな一日いちにちねんから年中ねんぢゆうときおくつてるのである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
俺は何うだ、繪具とテレビンとに氣を腐らして、年中ねんぢゆう齷齪あくせくしてゐる………それも立派な作品でも出來ればだが、ま、覺束おぼつかない。そりや孑孑ぼうふらどぶの中でうよ/\してゐるのよ、だが、俺は人間だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
此男このをとこちゝしんあと市街外まちはづれにちひさな莊園しやうゑん承嗣うけついだので、この莊園しやうゑんこそ怠惰屋なまけやみせともいひつべく、そのしろかべ年古としふりくづち、つたかづらおもふがまゝに這纏はひまとふたもん年中ねんぢゆうあけぱなしでとぢたことなく
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)