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寛闊
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かんかつ
ふりがな文庫
“
寛闊
(
かんかつ
)” の例文
しかもこんな戦争の最中にエリザベス朝の生活がそのまま
寛闊
(
かんかつ
)
に繰りひろげられていようとはさすがのわたしも想像さえもしませんでした。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
至ってお気持の
寛闊
(
かんかつ
)
なお方なのだから、もう一歩毛利方において譲歩を示すならば、きっと和談のととのわぬはずはない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある者は軽蔑を
湛
(
たた
)
えているかのように、またある者は好奇の心を一杯に現して、しかも
寛闊
(
かんかつ
)
な外衣の下から盛り上っている隆々たる筋肉の見事さ
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
汗と埃と、
煤
(
すす
)
と泥と、そのうえ血と涙とに汚れた安右衛門の顔は、まことに、日頃の
寛闊
(
かんかつ
)
な旦那振りなどは、薬にしたくも残ってはいなかったのです。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
漣は根が
洒落
(
しゃらく
)
である上に
寛闊
(
かんかつ
)
に育ち、スッキリと
捌
(
さば
)
けた中に
何処
(
どこ
)
となく気品があった。殊に応酬に巧みで機智に富み、誰とでも隔てなく交際し誰にでも
能
(
よ
)
く
親
(
したし
)
まれた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
埠頭
(
ふとう
)
から停車場へ向かう途中で
寛闊
(
かんかつ
)
な日本服を着て素足で歩いている人々を見た時には、永い間カラーやカフスで責めつけられていた旅の緊張が急に解けるような気がしたが
電車と風呂
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
氏と約した通り氏に
遇
(
あ
)
い氏が仮りにも知れる婦人の中より選び信じ懐かしんで
呉
(
く
)
れた自分が、鎌倉時代よりもずっと明るく
寛闊
(
かんかつ
)
に健康になった心象の幾分かを氏に投じ得たなら
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
薄色縮緬の
頭巾
(
ずきん
)
目深
(
まぶか
)
に、唐草模様の
肩掛
(
ショオル
)
を
被
(
き
)
て、三枚
襲
(
がさね
)
の
衣服
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
、
寛闊
(
かんかつ
)
に蹴開きながら、
衝
(
つ
)
と屑屋の身近に
来
(
きた
)
り、冷然として、既に見えざる車を目送しつつ、
物凄
(
ものすご
)
き
笑
(
えみ
)
を漏らせり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
当時は一般の風俗もおうよう
寛闊
(
かんかつ
)
であったが、彼女たちは山間自然の境地に育って、その性情は野趣に富み奔放不拘束な点が多かった。彼女たちは絶え間なしに喰べ、好んで情事を話題にした。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
手づくりの
足袋
(
たび
)
寛闊
(
かんかつ
)
にはきよくて
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
充ち足りたような
寛闊
(
かんかつ
)
さもすっかり消失して、学生時代のあの暗ぼったい皮肉なようすにかえっていました。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
少しく派手ではあるが
寛闊
(
かんかつ
)
な様子合いから見ても、銀簪を
揮
(
ふる
)
って、女を殺すような
人体
(
じんてい
)
とは思われません。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かついやしくも前途に平生口にする大抱負を有するなら努めて
寛闊
(
かんかつ
)
なる
襟度
(
きんど
)
を養わねばならない
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
かの女の神経は、
嘘
(
うそ
)
と知りつつ、自由で
寛闊
(
かんかつ
)
になり、そしてわくわくとのぼせて行った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
割膝にわが小さき体
引挟
(
ひっぱさ
)
みて、渋面つくるが
可笑
(
おかし
)
とて、しばしば血を吸いて、小親来て、わびて、引放つまでは
執念
(
しゅうね
)
く放たざりし
寛闊
(
かんかつ
)
なる笑声の、はじめは恐しかりしが、
果
(
はて
)
は懐しくなりて
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
デップリした
恰幅
(
かっぷく
)
で、柔和な眉、少し鋭い智恵の輝きを思わせる眼、二重
顎
(
あご
)
、大町人らしい
寛闊
(
かんかつ
)
なうちにも、何となく商機に
敏
(
さと
)
い人柄を思わせるのが、地味な
紬
(
つむぎ
)
を着て
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
寛闊
(
かんかつ
)
な気象は富有な旦那の時代が去って浅草生活をするようになってからも
失
(
う
)
せないで、画はやはり風流として
楽
(
たのし
)
んでいた、画を売って
糊口
(
ここう
)
する考は少しもなかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そのころ
流行
(
はや
)
った風俗ですが、一管の尺八を腰に差して、
寛闊
(
かんかつ
)
な懐ろ手、六法を踏む恰好で歩くのは花道から出て来る花川戸の助六や御所の五郎蔵と通うものがあります。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お勢の
妖艶
(
ようえん
)
な顔も、さすがに
蒼
(
あお
)
く
引緊
(
ひきしま
)
って、日頃の
寛闊
(
かんかつ
)
さは
微塵
(
みじん
)
もありません。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次と久三郎へ等分に挨拶したのは、三十前後の
恰幅
(
かっぷく
)
の良い男、殺されたお米には遠縁に当るそうで、居候といっても、何となく
寛闊
(
かんかつ
)
な感じのする態度が、考えようでは横着らしくもあります。
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
寛
常用漢字
中学
部首:⼧
13画
闊
漢検1級
部首:⾨
17画
“寛闊”で始まる語句
寛闊一休
寛闊聡明