孰方どっち)” の例文
なかいてたら早う薬まわりますさかい、なるだけ余計べとことして、孰方どっちも相手の御飯の数勘定して競争で詰め込みますのんで
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あし青簾あおすの筈なんです。ところが、孰方どっちを向いても一面の泥田、沼ともいわず底が浅い。どぶをたたきつけた同然に炎天に湧いたのがしおで焼けて、がさがさして、焦げています。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
百田宗治は孰方どっちかといえば美貌の老青年、伊藤整もまた天下にかくれない美貌の作家であった。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
... 預かると色々風変りな勝手道具もるからその方はお登和の嫁入支度よめいりじたくとして僕が買調かいととのえておこう」大原「ありがたい、どうぞそう願いたい。勝手道具位は孰方どっちになっても構わんけれども僕は様子を ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
孰方どっちにしても僕の不名誉は拭はれツこはないんだ。ねえ君、さうぢやないか、さうなつても君は僕を捨てないでくれるだらうか。
(新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と思うばかりで、何故なぜと云う次第は民也にも説明は出来ぬと云う。——にしろ、のがれられないあいだと見えた。孰方どっちか乳母ので、乳姉妹ちきょうだい。それともあによめ弟嫁おとよめか、かたき同士か、いずれ二重ふたえの幻影である。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「友達として清く附き合うのと、誘惑されて又ヒドイ目に遭わされるのと、孰方どっちがよくって?———あたし今夜は譲治さんを脅迫するのよ」
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そんな、寝惚けたふりしたかて、胡麻化されまつかいな。リヽー遣んなはるのんか孰方どっちだす? 今はつきり云うて頂戴。」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そんな、寝惚ねぼけたふりしたかて、胡麻化ごまかされまつかいな。リヽーんなはるのんか孰方どっちだす? 今はつきり云うて頂戴。」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そんな、寝惚ねぼけたふりしたかて、胡麻化ごまかされまっかいな。リリーんなはるのんか孰方どっちだす? 今はっきり云うて頂戴ちょうだい。」
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
光ちゃんと私とはなんぼ熱烈に愛し合うてたかて自然にそむいてるさかい、もし孰方どっちぞが捨てられるいうことになったら私の方が捨てられます。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その前の晩もやはり夜通し泣きつづけて、彼女も要もほとんど寝られなかったので、さし向いになった夫婦は孰方どっちれぼったい眼をしていた。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうなることを孰方どっちも恐れていればこそ、そんな機会を作らないように互に避けているのではあるが、現にこうして相対している今の場合でも
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あたしはあたしで、本家のためも思い、こいさんのためも思うて、孰方どっちにもきずが付かんように苦心したつもりやってんわ
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
お話したいいうのんも実はそのことなんですが、いったいお姉さんは、僕とお姉さんと孰方どっちが余計愛されてる思います。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
夫は例の孰方どっちつかずなあいまいな返辞をするばかりだし、彼女自身もそれならどうと云う心持もきまらないので、ついぐずぐずと昼過ぎになってしまった。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、Sはそう云って、孰方どっちつかずにっ立ったままの私の顔を見上げながら、もう一度ニヤニヤ笑いました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何か、人間の世を離れた、はるかな遥かな無窮の国をおもわせるような明るさである。その時の気持次第で、闇夜やみよとも月夜とも孰方どっちとも考えられるような晩である。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
つまり亭主への反感と、品子への反感と、孰方どっちの感情で動いたらよいか板挟いたばさみになってしまったのである。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうして大都会の下町に、はちの巣の如く交錯している大小無数の街路のうち、私が通った事のある所と、ない所では、孰方どっちが多いかちょいとわからなくなって来た。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
はるかな沖の方からか、それとも行くての何本も何本も先の磯馴松の奥の方からか、孰方どっちだかよく分らないが、ふと、私の耳に這入って来た不思議な物の音があった。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうかとって、虐待ぎゃくたいされていたり死んでいたりしたのでは尚悲しいし、孰方どっちにしても気が晴れることはないのだから、いっそ何も聞かない方がいいかも知れない。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
悪いと思ったら詫まるがよし、それがいやなら帰っておくれ。………さ、孰方どっちにするんだよ、早く極めたらいいじゃないか。詫まるのかい? それとも浅草へ帰るのかい?
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「いつたいお母さん僕のお母さんか、福子のお母さんか、孰方どっちだす? なあ、孰方だすいな。」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「いつたいお母さん僕のお母さんか、福子のお母さんか、孰方どっちだす? なあ、孰方だすいな。」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そうでもないけど、奥畑と結婚するのんと孰方どっちか云うたら、まだ板倉の方がええやろうな」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
平中の場合と時平の場合と、老人に取って孰方どっちが餘計残酷であるかは言をたない。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
自動車における衝突の危険と、電車における感冒伝染の危険と、孰方どっちがプロバビリティーが多いか。それから又、仮りに危険のプロバビリティーが両方同じだとして、孰方が余計生命に危険であるか。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「うちは孰方どっちでもええわ、雪姉きあんちゃんに聞いて見て、———」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そしたら、今のこと返事しなさい、孰方どっちだす?」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「そしたら、今のこと返事しなさい、孰方どっちだす?」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「お春と孰方どっちが上やろか」
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)