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媒介
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なかだち
ふりがな文庫
“
媒介
(
なかだち
)” の例文
森本の二字はとうから
敬太郎
(
けいたろう
)
の耳に変な響を伝える
媒介
(
なかだち
)
となっていたが、この頃ではそれが一層高じて全然一種の
符徴
(
ふちょう
)
に変化してしまった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小丘
(
おか
)
の下に、
加之
(
しかも
)
向かい合って立っていることで、これが普通の仲でしたら、お互に寂しいのが
媒介
(
なかだち
)
となって却って親しくなるのですけれど
死の復讐
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
恋をするものにとつて、こんな結構な
媒介
(
なかだち
)
があらうか、それを思ふと、今日まで兵隊や
氷詰
(
こほりづめ
)
の魚ばかし輸送してゐたのは勿体ないやうな気持がする。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
但しは此の横笛を飽くまで不義淫奔に
陷
(
おとしい
)
れんとせらるゝにや。又しても問ひもせぬ人の批判、且つは深夜に道ならぬ
媒介
(
なかだち
)
、横笛迷惑の至り、御歸りあれ冷泉樣。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
上州屋の女房は両国の薬種屋の
媒介
(
なかだち
)
でここへ縁付いたもので、その関係上、多年親類同様に附き合っている。馬道からわざわざ薬を買いにゆくのもその為である。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
妻は争い負けて大部分を
掠奪
(
りゃくだつ
)
されてしまった。二人はまた押黙って闇の中で
足
(
た
)
しない食物を
貪
(
むさぼ
)
り喰った。しかしそれは結局食欲をそそる
媒介
(
なかだち
)
になるばかりだった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それからまもなく、石念と鈴野とは、師の
媒介
(
なかだち
)
で添うことになった。親鸞の寛大と英断に驚く者もあったが、それからの石念の
道行
(
どうぎょう
)
はたしかに一歩も二歩も進んでいた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたくし
)
が
此
(
この
)
港
(
みなと
)
へ
貿易商會
(
ぼうえきしやうくわい
)
を
設立
(
たて
)
た
翌々年
(
よく/\とし
)
の
夏
(
なつ
)
、
鳥渡
(
ちよつと
)
日本
(
につぽん
)
へ
皈
(
かへ
)
りました。
其頃
(
そのころ
)
君
(
きみ
)
は
暹羅
(
サイアム
)
漫遊中
(
まんゆうちゆう
)
と
承
(
うけたまは
)
つたが、
皈國中
(
きこくちゆう
)
、
或
(
ある
)
人
(
ひと
)
の
媒介
(
なかだち
)
で、
同郷
(
どうきやう
)
の
松島海軍大佐
(
まつしまかいぐんたいさ
)
の
妹
(
いもと
)
を
妻
(
つま
)
に
娶
(
めと
)
つて
來
(
き
)
たのです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
光子は執事遠藤の家へ引取られ男の児を産んで六十日たつか経たぬ
中
(
うち
)
やはり遠藤の
媒介
(
なかだち
)
で中学校の英語教師種田順平なるものの後妻となった。時に光子は十九、種田は三十歳であった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此時分に大仏の和尚の
媒介
(
なかだち
)
で私と阪本と縁組をしたのですが
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
神籤
(
みくじ
)
に何の執着もなかったお延は、突然こうして継子と
戯
(
たわむ
)
れたくなった。それは結婚以前の処女らしい自分を、彼女に
憶
(
おも
)
い起させる
良
(
い
)
い
媒介
(
なかだち
)
であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これは乱暴だ。和議の
媒介
(
なかだち
)
に参った朝臣方を、なにゆえあって捕え給うか」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし三河守師冬が養父の不義を憎んで、その
媒介
(
なかだち
)
をするかれを追い払えというのは、なにさま、さもありような話であった。追い払われて何処へゆく。それを思うと、侍従も少し途方にくれた。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
帽子なしで外出する昔ながらの癖を今でも押通しているその人の特色も、彼には異な気分を与える
媒介
(
なかだち
)
となった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はこの長い手紙を書いた女と、この帽子を被らない男とを一所に並べて考えるのが
大嫌
(
だいきらい
)
だった。それは彼の不幸な過去を遠くから呼び起す
媒介
(
なかだち
)
となるからであった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女の様子は
剛張
(
こわば
)
っていた。そのくせ心は
纏
(
まと
)
まりなく動いていた。
先刻
(
さっき
)
出かけようとして着換えた着物まで、
平生
(
ふだん
)
と違ったよそゆきの気持を余分に添える
媒介
(
なかだち
)
となった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女の権幕は健三の心をますます彼女から遠ざける
媒介
(
なかだち
)
となるに過ぎなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“媒介”の意味
《名詞》
媒介(ばいかい)
なかだちをすること。
(法律) 他者間の契約の成立に尽力する行為。
(出典:Wiktionary)
媒
常用漢字
中学
部首:⼥
12画
介
常用漢字
中学
部首:⼈
4画
“媒介”で始まる語句
媒介人
媒介者
媒介物
媒介口
媒介役
媒介親