始終しゞう)” の例文
ところが、母様おつかさんわたしとのほからないことをモ一人ひとりほかつてるものがあるさうで、始終しゞう母様おつかさんがいつておかせの、それ彼処あすこ置物おきもののやうにかしこまつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
不安ふあん段々だん/\あがつてた。それ打消うちけさうとするそばから、「あの始終しゞうひと顔色かほいろんでゐるやうなそこには、何等なんらかの秘密ひみつひそんでゐるにちがひない。」と私語さゝやくものがある。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わたくし春枝夫人はるえふじんこのせきつらなつたときには丁度ちやうどある年増としま獨逸ドイツ婦人ふじんがピアノの彈奏中だんそうちゆうであつたが、この婦人ふじんきはめて驕慢けうまんなる性質せいしつえて、彈奏だんそうあひだ始終しゞうピアノだいうへから聽集きゝてかほ流盻ながしめ
わたしむね始終しゞうえてゐた。たゞおさへてゐるばかりなのである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
こゑせぬ雪枝ゆきえかはつて、老爺ぢい始終しゞう物語ものがたつた……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)