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始終
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しゞう
処が、
母様と
私とのほか
知らないことをモ
一人他に
知つてるものがあるさうで、
始終母様がいつてお
聞かせの、
其は
彼処に
置物のやうに
畏つて
居る
不安の
火の
手は
段々揚つて
来た。
其を
打消さうとする
傍から、「あの
始終人の
顔色を
読んでゐるやうな
目の
底には、
何等かの
秘密が
潜んでゐるに
違ない。」と
私語くものがある。
私が
春枝夫人と
此席に
列つた
時には
丁度ある
年増の
獨逸婦人がピアノの
彈奏中であつたが、
此婦人は
極めて
驕慢なる
性質と
見えて、
彈奏の
間始終ピアノ
臺の
上から
聽集の
顏を
流盻に
見て
私の
胸は
始終煮えてゐた。
唯抑へてゐるばかりなのである。
声も
出せぬ
雪枝に
代つて、
老爺が
始終を
物語つた……