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奔馳
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ほんち
ふりがな文庫
“
奔馳
(
ほんち
)” の例文
「
綸巾
(
りんきん
)
をいただき
羽扇
(
うせん
)
をもって、常に三軍を指揮していたという
諸葛孔明
(
しょかつこうめい
)
は、四輪車という物に乗って戦場を
奔馳
(
ほんち
)
していたそうですが」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その間わずかに途が開かれると、あるいは勢に乗じみずから知らずして遠く突進し、あるいは激せられるところがあって予期せざる方面に
奔馳
(
ほんち
)
する。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
と、馬は忽ち矢の如く走り出でたのである。
伴
(
つれ
)
の馬に遅れまいと、其男が手綱を執つてゐたわしの馬も、宙を飛んで
奔馳
(
ほんち
)
する。わし達はひたすらに途を急いだ。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
それから
意馬心猿
(
いばしんえん
)
という事、『類聚名物考』に、『慈恩伝』に〈情は猿の逸躁を制し、意は馬の
奔馳
(
ほんち
)
を
繋
(
つな
)
ぐ〉、とあるに基づき、中国人の創作なるように筆しあれど
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼は
纍々
(
るゐるゐ
)
たる紅球燈の光を浴びて、新富座の木戸口に
佇
(
たたず
)
みつつ、霖雨の中に
奔馳
(
ほんち
)
し去る満村の馬車を目送するや、昨日の憤怨、今日の歓喜、
均
(
ひと
)
しく胸中に
蝟集
(
ゐしふ
)
し来り
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
水は其中を
奔馳
(
ほんち
)
して、最後に洞穴の中へ吸われるように消えてしまうのが上から覗かれる。
渓三題
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
四節は追はずして
駿馬
(
しゆんめ
)
の如くに
奔馳
(
ほんち
)
し、草木の栄枯は輪なくして廻転する車の如し。自然は常変なり、
須臾
(
しゆゆ
)
も停滞することあるなし。自然は常動なり、須臾も寂静あることなし。
万物の声と詩人
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
この正経着実なる進歩に反してわが邦においてはこの数百年の長程を一瞬一息のうちに
奔馳
(
ほんち
)
しついにこれがために数百年前封建の残余と数百年後文明の分子と同一の時代において
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
人一たび勢利の
巷
(
ちまた
)
に
奔馳
(
ほんち
)
するや、時運に激せられて旧習に
晏如
(
あんじょ
)
たる事
能
(
あた
)
はず。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
静かなること林のごときあいだにも機をねらって東西に
奔馳
(
ほんち
)
しつつある同志の誓言、これらのことが守人の
頭脳
(
あたま
)
にひらめくと同時に、たった今までの思慕の感傷を、われから蹴散らすような足取りで
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
馭者台のそばに立ったマドロスは、警鈴をつかんで、大きく振りながら、深夜の異人館町を驚かしつつ
奔馳
(
ほんち
)
してゆく。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼がこんな阿修羅となって乱軍中を
奔馳
(
ほんち
)
したなどは初めてのことである。元来、正成は打物取ッての武勇の質ではなく、阿修羅は
哭
(
な
)
いていたのだった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
張苞
(
ちょうほう
)
の二人に各〻兵二万をさずけ、遊軍として、諸方の攻め口に万一のある場合、
奔馳
(
ほんち
)
して救うべしといいつけてありますから、どうか御心を安められますように
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、この高地からながめても、その広い
天賦
(
てんぷ
)
の平地も、まるで人間の静脈のように大小無数の河水が
奔馳
(
ほんち
)
していて、人力の
痕跡
(
こんせき
)
らしいものは殆ど見えないのである。
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左様仰せられますが、高松の城は、平野と耕田の底地に位置し、四囲には手頃な山々をひかえ、加うるに、
足守川
(
あしもりがわ
)
をはじめとし、大小七つの
河川
(
かせん
)
が八方へ
奔馳
(
ほんち
)
しています。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生糸検査所、銀行、美術品店、商館——わずか十年前には見られなかった煉瓦造りの町に、砂糖やメリケン粉を積んだ
幌馬車
(
ほろばしゃ
)
の馬が、鳴る
鞭
(
むち
)
の下に、黄色い
埃
(
ほこり
)
をあげて
奔馳
(
ほんち
)
してゆく。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤兎は稀代の名馬で、一日よく千里を走るといわれ、馬体は真っ赤で、風をついて
奔馳
(
ほんち
)
する時は、その
鬣
(
たてがみ
)
が炎の流るるように見え、将軍の赤兎といえば、知らない者はないくらいだった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一里にわたる
大築堤
(
だいちくてい
)
も、一方にできあがっていたので、ここに
堰
(
せ
)
かれた激流は、水けむりの方向を変えて、とうとうと、高松城をめぐるひろい田野や民家のある平地へ目がけて、
奔馳
(
ほんち
)
して行った。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奔馳
(
ほんち
)
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奔
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
馳
漢検準1級
部首:⾺
13画
“奔”で始まる語句
奔
奔走
奔馬
奔放
奔騰
奔湍
奔流
奔命
奔逸
奔河