契約けいやく)” の例文
「お殿様は昔のことです。今日では知人にすぎません。まったく対等ですよ。特別の契約けいやくを結ばないかぎり、権利けんり義務の関係はありません」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
左樣の人なるかそれがしも此度よんどころなき事にて九州へ下るなれ共此用向のすみ次第しだいに是非とも關東くわんとうへ下向の心得なれば其節そのせつは立寄申べしと契約けいやくし其場はわかれたりさて寶澤は九州
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ふむ。では契約けいやくした。学生が待っているから、早速さっそく標本ひょうほんになってもらおう。こっちへ来なさい」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かくのごとき場合には契約けいやくの両者が依然として独立の心を失わぬのである。また身は一見しばられているようであるが、一方のいやというのを縛るのでなく、自由の契約である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
糸子いとこひのふすまきはにぴつたりとせつあやしのことよとみゝそばだつれば、松野まつのれい高調子たかてうしらばかしまゐらせん御歸邸ごきていのうへ御主君ごしゆくんこと緑君みどりくん御傳おつたねがひたし、糸子いとこ契約けいやく良人をつととは
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
得る事大望成就の吉瑞きつずゐなりと云ば天忠は早々御對面ありて主從の契約けいやくあるべしと相談さうだんこゝに一決し天忠はつぎ退しりぞき伊賀亮に申樣只今先生の事を申上しに天一坊樣にも先生の大才だいさい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
盡すべしいざ主從の契約けいやく盃盞さかづきつかはさんと云ばこの時かねて用意の三寶さんばう土器かはらけのせ藤井左京持出て天一坊の前に差置さしおけば土器取あげ一こん飮干のみほして伊賀亮へつかはす時に伊賀亮はかしらあげつく/\と天一坊の面貌めんばう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)