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奄々
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えんえん
ふりがな文庫
“
奄々
(
えんえん
)” の例文
阿諛
(
あゆ
)
し、哀願し、心身を
他
(
た
)
の
蹂躙
(
じゅうりん
)
に委せて反抗の気力も失せはて、気息また
奄々
(
えんえん
)
たるもの、重なり重なり乗り越え、飛び越ゆるもの
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
実は、かの女たちの心のおくにも、追いつめられて
奄々
(
えんえん
)
たる
気息
(
きそく
)
の貞操はまだ生きていた。男に切り売りしているものは貞操ではない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この気息
奄々
(
えんえん
)
たる雑誌に活を入れる大変化が起った、というのは誌名を「シュピオ」と改題し、海野十三、小栗虫太郎、木々高太郎の三氏が
休刊的終刊:シュピオ小史
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
親爺の皮膚は、薄黒く、また黄色ッぽく、白血球は、薬のために抵抗力を失って、まるで棺桶に半脚突ッこんだ病人のように気息
奄々
(
えんえん
)
としていた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
渠等
(
かれら
)
が炎熱を冒して、流汗面に
被
(
こうむ
)
り、気息
奄々
(
えんえん
)
として労役せる頃、高楼の窓半ば開きて、へいげん
帷
(
とばり
)
を掲げて
白皙
(
はくせき
)
の
面
(
おもて
)
を
露
(
あらわ
)
し、微笑を含みて見物せり。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
葉いちめんに灰色や黒の斑点が出来て艶がなくなり、ぐったりと葉を垂れて、いわば、気息
奄々
(
えんえん
)
というていである。
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大体人間というものは、空想と実際との食い違いの中に気息
奄々
(
えんえん
)
として(拙者なぞは白熱的に熱狂して——)暮すところの
儚
(
はか
)
ない生物にすぎないものだ。
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と、その時まで、塚の真下に、小岩を抱いて、
奄々
(
えんえん
)
とした気息で、伏し沈んでいた典膳が、最後の
生命力
(
ちから
)
を揮い、胸を反らせ、腰を
蜓
(
うね
)
らせ、のけ反った。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
公は漸く其処迄辿り着き、気息
奄々
(
えんえん
)
たる
様
(
さま
)
でとっつきの一軒に匍い込む。扶け入れられ、差出された水を一杯飲み終った時、到頭来たな! という太い声がした。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
わが邦の文明は三十年前気息
奄々
(
えんえん
)
として前途はなはだ
覚束
(
おぼつか
)
なきの旅行をなしたるにもかかわらず、不思議なるかな、電光石火にその方向を一変し、その針路を一転し
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
二列の寝台には見るに堪えない重症患者が、文字どおり気息
奄々
(
えんえん
)
と眠っていた。誰も彼も大きく口を開いて眠っているのは、鼻を冒されて呼吸が困難なためであろう。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
甚
(
はなは
)
だしきに至りては、これを大御所とさえ言うんである。けれども、これは
面
(
まのあた
)
り山県公を見た人の言う事ではない。面り見ると、もはや顔色憔悴、気息
奄々
(
えんえん
)
としている。
勢力の中心を議会に移すべし
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
一方梶子と民弥とは、ほとんど気息
奄々
(
えんえん
)
として、辿りついた石棺の一つに縋り、尚ももがき苦しんでいた。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たれの呼吸も
奄々
(
えんえん
)
と見えぬはなかった。からだじゅうに
干乾
(
ひから
)
びた黒い血や生々と濡れ光ッている鮮血は負ッていたが、どこが痛いと知る感覚はなく、ただもうせつない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この不幸なる病人は気息
奄々
(
えんえん
)
として死したるごとく、泰助の来れるをも知らざりけるが、時々
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
激烈なる生存競争に敗れて気息
奄々
(
えんえん
)
たる、一頭の
成牝
(
カウ
)
若くは処女獣をさえ収め得ず、小なる小なるハーレム一つ創り得ずに止む永遠の孤独者、または昨の英雄、かつてのハーレム中の
獰猛者
(
ねいもうしゃ
)
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
真夏の入道雲の下には、
蟻地獄
(
ありじごく
)
のような囚人の群れが、
腰鎖
(
こしぐさり
)
のまま、気息
奄々
(
えんえん
)
と働いていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
普門品
(
ふもんぼん
)
、大悲の
誓願
(
ちかい
)
を祈念して、下枝は気息
奄々
(
えんえん
)
と、
無何有
(
むかう
)
の里に入りつつも、
刀尋段々壊
(
とうじんだんだんね
)
と唱うる時、得三は白刃を取直し、電光
胸前
(
むなさき
)
に
閃
(
きらめ
)
き来りぬ。この景この時、室外に声あり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかも老武士は数ヵ所の痛手に気息
奄々
(
えんえん
)
たるものであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
六月、
三国
(
みくに
)
越えを、彼のひきいる人馬は、
奄々
(
えんえん
)
と、汗みどろに、北をさしていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「気息
奄々
(
えんえん
)
、断末魔!」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ちょうどその時は、気息
奄々
(
えんえん
)
の乱れを見せた大月玄蕃が、残れる精力をあつめて、エエーッと最後の気合を全身の毛穴から振り絞って、春日重蔵の小太刀を
鍔押
(
つばお
)
しに試みた時であった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駈け寄って、山駕を
括
(
くく
)
した縄を切りほどくと、銀五郎の体が力なく外へ横仆れになった。さっき、多少の手当てを加えられたので、気はついていたが、
奄々
(
えんえん
)
として苦しそうな息づかい。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見れば気息も
奄々
(
えんえん
)
と疲れ果てた老武士が、血気の数名に斬り捲くられている。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奄々
(
えんえん
)
たる人馬の息と
臭
(
にお
)
いが、ふと途切れる、また続く、また途切れる——。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聞くと、
奄々
(
えんえん
)
と
渇
(
かつ
)
にくるしんでいた兵も
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
果
(
は
)
ては起ちも得ず、気息
奄々
(
えんえん
)
となると
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奄々
(
えんえん
)
とした息で——。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奄
漢検準1級
部首:⼤
8画
々
3画
“奄”で始まる語句
奄美
奄美大島
奄然
奄奄
奄有