大地震おおじしん)” の例文
また実際その頃はもうあの大地震おおじしんがあってから、かれこれ一年あまり経った時分で、校長がこの問題を切り出した以前にも
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
がつ一日ついたち大地震おおじしんのために、東京とうきょう横浜よこはま、この二つのおおきな都市としをはじめ、関東かんとうたい建物たてものは、あるいはこわれたり、あるいはけたりしてしまいました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その翌年、私の二ツの時は安政の大地震おおじしん、三年は安政三年の大暴風——八歳の時は万延元年で、桜田の変、井伊掃部頭いいかもんのかみ御首みぐしを水戸の浪士が揚げた時である。
おしたおされて、うめく声、子どもの泣きごえ、女の悲鳴、まるで、大地震おおじしんでもおこったようなさわぎです。
怪奇四十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
とたんに——ゴツンとなにかしりに当ったような気がしたが、いたくなかったのは首尾しゅびよくワラで防いだものだろう——とは蛾次郎がじろうが夢中の感覚かんかく、ワラ山に大地震おおじしんを起して
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁度ちょうど上方辺かみがたへん大地震おおじしんのとき、私は先生家の息子に漢書の素読そどくをしてやった跡で、表の井戸端で水をんで、大きな荷桶にないかついで一足ひとあし跡出ふみだすその途端にガタ/″\と動揺ゆれて足がすべ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
すると、全身がガタガタと震えだして、いくら腕をおさえつけても、むということなく、ついには、実験室全体が大地震おおじしんになったかのように、グラグラ振動をはじめたと錯覚さっかくをおこした。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雪風ゆきかぜはいよいよ吹きつのって、の一軒家は大地震おおじしんのようにめりめりとゆらいだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それから——一々数え立てるまでもございませんが、その時その風俗画報は、二年以前の大地震おおじしんの光景を再び私の眼の前へ展開してくれたのでございます。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「二ねんばかりまえ大地震おおじしんがあって、そのとき、このまちはつぶれてしまいました。」と、そのひとはいいました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一体、浅草は余り火事沙汰ざたのない所ゆえ、土蔵など数えるほどしかなかった。それに安政の大地震おおじしんの際、土蔵というものが余り役に立たなかったことを経験しているので、一層数が少なかった。
「まるで大地震おおじしんの跡のようだッ」
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
するとあの大地震おおじしんで、——忘れも致しません十月の二十八日、かれこれ午前七時頃でございましょうか。私が井戸ばた楊枝ようじを使っていると、妻は台所で釜の飯を移している。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)