四度よたび)” の例文
魏の総勢が遠く退いた後、孔明は八部の大軍をわけて箕谷きこく斜谷やこくの両道からすすませ、四度よたび祁山きざんへ出て戦列をかんと云った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらゆる水と共に三度みたびこれにめぐらし四度よたびにいたりてそのともを上げへさきを下せり(これ天意みこゝろの成れるなり) 一三九—一四一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼等は四度よたび手を換えた時、ようやく趙荘がぼんやり見え出して、歌声もどうやら聞えて来た。幾つかの火は舞台の明りか、それともまた漁りの火か。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
恐らく今度も、矛盾撞着が針袋のように覆うていて、あの畏懼いくと嘆賞の気持を、必ずや四度よたび繰り返すことであろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
七年の間に三度みたび四度よたび拡張した結果、私が行く一週間許り前に、新築社屋の落成式と共に普通の四頁新聞になつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
民也はここのツ……十歳とおばかりの時に、はじめて知って、三十を越すまでに、四度よたび五度いつたびたしかに逢った。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は四度よたびの文をも例の灰と棄てて顧ざりしに、日をると思ふ程も無く、五度いつたびの文は来にけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
親方どうも大きな声をしてお八釜やかましゅうございます、え、おいおとっさん、己ア此処迄に四度よたび飲んで来たが、直ぐによいが醒めるんだ、醒めるから又居酒屋へ飛び込んでって来たが
女と逢いそめてから、これでまだ四度よたびにしかならぬ。それが、其様そんな悩んだ風情を見せられるのが初めてなので、それをも、私は嬉しく美しいと自分も黙あって飽かず眺めていた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
蘭陵らんりょうの酒を買わせるやら、桂州けいしゅう竜眼肉りゅうがんにくをとりよせるやら、日に四度よたび色の変る牡丹ぼたんを庭に植えさせるやら、白孔雀しろくじゃくを何羽も放し飼いにするやら、玉を集めるやら、にしきを縫わせるやら
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
過ぎし日に四度よたび自殺を計りしをひとやに覚めて虫聴き憶ふ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
「再びなもんか。もう四度よたび五度いつたびは失職したらう。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
鬼神の如く今四度よたび奮然として進む時、 785
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
三度みたび四度よたび、人のすべつた跡も見える。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
民也たみやこゝのツ……十歳とをばかりのときに、はじめてつて、三十をすまでに、四度よたび五度いつたびたしかつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふさはしきうれしき會釋ゑしやく三度みたび四度よたびに及べる後、ソルデルしざりて汝は誰なりやといふ 一—三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
熟した麦の香の漂ふ夜路に、あたたかい接吻きすの音が幽かに三度みたび四度よたび鳴つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「お前の兄は一体どうかしているのじゃあないか。生擒いけどられてはこれへ来ることすでに今日で四度よたびになる。未開の蛮国といえ、人間ならば恥ということもあるだろう。お前からよく意見するがいい」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我の書きしは四度よたびにかあらむ
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)