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嘲
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あざけり
ふりがな文庫
“
嘲
(
あざけり
)” の例文
わたくしは敢て
嘲
(
あざけり
)
を解かうとはしない。しかし此書牘を作つた人々の心理状態はわたくしの一顧の値ありとなす所のものである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
どうかすると外の人の前で、此詞を言ひ出す事がある。
例之
(
たとへ
)
ば公爵に向いてそんな事を言ふ。公爵は軽い
嘲
(
あざけり
)
の表情を以て、唇に皺を寄せる。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
驚くうちは楽がある! 女は仕合せなものだ!
家
(
うち
)
へ帰って寝床へ
這入
(
はい
)
るまで藤尾の耳にこの二句が
嘲
(
あざけり
)
の
鈴
(
れい
)
のごとく鳴った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
アントニオは古の名家の少時の作を世に
公
(
おほやけ
)
にせしものあるを見て、或はおのれのをも
梓行
(
しかう
)
せんとすることあらんか。そは世の
嘲
(
あざけり
)
を招くに過ぎず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その日神中が銀行へ往ったところで、他の銀行員は
平生
(
いつ
)
になく神中に
嘲
(
あざけり
)
の眼を向けた。神中はどうしたことだろうと思っていると、知人が出て来て
雀が森の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
それ見たかと言わないばかりの親戚友人の
嘲
(
あざけり
)
の中に坐って、淋しい日を送ったことが多かった。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いたずらに
自
(
みず
)
から
愚
(
ぐ
)
を
表
(
あらわ
)
して
他
(
た
)
の
嘲
(
あざけり
)
を買うに過ぎず。すべて今の士族はその身分を落したりとて悲しむ者多けれども、落すにも
揚
(
あぐ
)
るにも結局物の本位を定めざるの論なり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
(
嘲
(
あざけり
)
を帯びて。)あんな風になら、一人で幾生涯でも生きて見られようじゃありませんか。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
怒を
嘲
(
あざけり
)
に換へながら、蔑むやうに哄笑した。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
咀う口から出る
咀
(
のろい
)
や、いろいろの
嘲
(
あざけり
)
の
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
大村の顔を、
微
(
かす
)
かな微笑が
掠
(
かす
)
めて過ぎた。
嘲
(
あざけり
)
の分子なんぞは少しも含まない、温い微笑である。感激し易い青年の心は、
何故
(
なにゆえ
)
ともなくこの人を頼もしく思った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その
夜
(
よ
)
の夢に藤尾は、驚くうちは
楽
(
たのしみ
)
がある! 女は
仕合
(
しあわせ
)
なものだ! と云う
嘲
(
あざけり
)
の
鈴
(
れい
)
を聴かなかった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
学者の
談話
(
はなし
)
を聞ても其意味を解し、自から談話しても、其意味の深浅は兎も角も、弁ずる所の首尾全うして他人の
嘲
(
あざけり
)
を避ける位の心掛けは、婦人の身になくて叶わぬ事なり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
冷たい
嘲
(
あざけり
)
を含んだ声が
顫
(
ふるい
)
を帯びて聞えて来た。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
怒を
嘲
(
あざけり
)
に換えながら、
蔑
(
さげす
)
むように
哄笑
(
こうしょう
)
した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
爺いさんのこう云う時、顔には微笑の淡い影が浮んでいたが、それが決して冷刻な
嘲
(
あざけり
)
の微笑ではなかった。僕は生れながらの傍観者と云うことに就いて、深く、深く考えてみた。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その五日目の
昨夕
(
ゆうべ
)
! 驚くうちは
楽
(
たのしみ
)
がある! 女は仕合せなものだ!
嘲
(
あざけり
)
の
鈴
(
れい
)
はいまだに耳の底に鳴っている。小机に
肱
(
ひじ
)
を持たしたまま、燃ゆる黒髪を照る日に打たして身動もせぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
金太は忽ち、
嘲
(
あざけり
)
の色を浮べた。
おいてけ堀
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
嘲
常用漢字
中学
部首:⼝
15画
“嘲”を含む語句
嘲笑
嘲弄
冷嘲
嘲罵
自嘲
嘲侮
嘲謔
御嘲笑
嘲哢
嘲蔑
自嘲的
嘲殺
嘲笑的
嘲弄者
嘲嗤
嘲弄的
解嘲
嘲声
自嘲癖
自嘲心
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