同家どうけ)” の例文
ここらの町家まちやは裏手に庭や空地あきちっているのがならいであるから、巡査等は同家どうけ踏込ふみこんでず裏庭を穿索せんさくした。が、縁の下にも庭の隅にも重太郎の姿は見えなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あめれたあさである。修善寺しゆぜんじ温泉宿をんせんやど、——くわん家族かぞく一婦人いちふじんと、家内かない桂川かつらがは一本橋いつぽんばしむかうの花畑はなばたけ連立つれだつて、次手ついで同家どうけひかへ別莊べつさう——あきである——をせてもらつた、とつてはなした。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
師弟の契約をしたい心得でまかり出ましたので、実はのお隅と申すは同家どうけにいるから、段々それまア江戸子えどっこ同士で、打明けた話をするとお前さん此処こゝに長くいる気はあるまい、此処は腰掛だろう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まちける時に御徒目付おかちめつけ青山三右衞門玄關に立出て生駒家より差出さしいだしの人數にんずそろひたるやとのたづねにハツとこたへて同家どうけ用人ようにん金子忠右衞門同留守居役加川新右衞門の兩人罷り出御達おんたつし通り人數相揃ひひかへ罷り在候とこたへければ青山三右衞門玄關番に差※さしづなし然らばまづ各々方おの/\がたこれへ控有べしと案内あんないつれ評定所の座敷に暫時ざんじひかへ居たりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)