口繪くちゑ)” の例文
新字:口絵
一二さつつてると、いづれも婦人用ふじんようのものであつた。宗助そうすけその口繪くちゑてゐるをんな寫眞しやしんを、何枚なんまいかへしてながめた。それから「成効せいかう」と雜誌ざつしげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おなじ半帕ハンケチでも、金澤かなざは貸本屋かしほんや若妻わかづまふのが、店口みせぐち暖簾のれんかたけた半身はんしんで、でれりとすわつて、いつも半帕ハンケチくちくはへて、うつむいてせたは、永洗えいせん口繪くちゑ艷冶えんやてい眞似まね
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明治十二三年頃めいぢじふにさんねんごろ出版しゆつぱんだとおもふ——澤村田之助曙双紙さはむらたのすけあけぼのさうし合卷がふくわんものの、淡彩たんさい口繪くちゑに、黒縮緬くろちりめん羽織はおり撫肩なでがたけて、衣裝いしやうつまつた、座敷ざしきがへりらしい、微醉ほろよひ婀娜あだなのが
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)