口止くちどめ)” の例文
せな「アレまア、われせえ云わなければ知れる気遣きづけえねえから云うじゃアねえよと、おら口止くちどめして、自分からおッ饒舌ちゃべるって、なんてえこった」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お前はこれをその女に貰って口止くちどめをされたんだろう……わたしがここへ来た事を誰にも云ってくれるな……と云って……」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
持來るに長兵衞是は先刻さつき口止くちどめが併しお氣の毒と笑ひながら豬口ちよくとりさけ辭儀じぎは仕ない者なりおかんよいうち波々なみ/\うけこれより長兵衞長八の兩人は酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また十一月上申の日くだんの社司祓神事を行う事二月のごとし、猿の口止くちどめの神事というなり。
羽織を脱いでほうり出して、帯もこんなに(なよやかに、つむりを振向く)あの、蓮葉はすはにしめて、「後生ごしょう、内証だよ。」と堅く口止くちどめをしました上で、宿帳のお名のすぐあとへ……あの
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つかひし事必らず口外こうぐわいなすべからずと吉平へもかた口止くちどめして濟し居たりしがたれる者もなく其年もはや十二月となりて追々おひ/\年貢ねんぐの上なふ金を下作したさくよりあつめけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はなすにぞ女房お富はあきはて暫時しばし言葉ことばもなかりしが夫と云ふも皆お前がらちも無き事を云ひ出してこんなさわぎに成りしなり初めから私し呉々くれ/″\口止くちどめをしておいたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)