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単簡
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たんかん
ふりがな文庫
“
単簡
(
たんかん
)” の例文
旧字:
單簡
「やっぱり物質的の必要かららしいです。先が何でもよほど
派出
(
はで
)
な
家
(
うち
)
なんで、叔母さんの方でもそう
単簡
(
たんかん
)
に済まされないんでしょう」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
桂川
(
かつらがわ
)
の岸伝いに行くといくらでも咲いていると云うコスモスも時々病室を照らした。コスモスはすべての
中
(
うち
)
で最も
単簡
(
たんかん
)
でかつ長く持った。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時々
腑
(
ふ
)
に落ちないところが出てくると、私は女に向って短かい質問をかけた。女は
単簡
(
たんかん
)
にまた私の
納得
(
なっとく
)
できるように答をした。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
説明はなるべく
単簡
(
たんかん
)
な方が
宜
(
よ
)
ろしいから、ここに一つの物でも、人でもあるとする。この物か人は与えられたものとします。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の
単簡
(
たんかん
)
の説明が終ると、彼は
嬉
(
うれ
)
しくも悲しくもない常の来客に応接するような態度で「まあそこへおかけ」と云った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
父はその男をこう荒っぽく
叙述
(
じょじゅつ
)
しておいて、その男とその家の召使とがある関係に
陥入
(
おちい
)
った
因果
(
いんが
)
をごく
単簡
(
たんかん
)
に物語った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この洋杖は竹の根の方を曲げて
柄
(
え
)
にした
極
(
きわ
)
めて
単簡
(
たんかん
)
のものだが、ただ
蛇
(
へび
)
を彫ってあるところが普通の
杖
(
つえ
)
と違っていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「詩人かも知れないが随分妙な男ですね」と主人が云うと、迷亭が「馬鹿だよ」と
単簡
(
たんかん
)
に送籍君を打ち留めた。東風君はこれだけではまだ弁じ足りない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
机は
白木
(
しらき
)
の
三宝
(
さんぼう
)
を大きくしたくらいな
単簡
(
たんかん
)
なもので、インキ
壺
(
つぼ
)
と粗末な
筆硯
(
ひっけん
)
のほかには何物をも
載
(
の
)
せておらぬ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これも分りやすいためになるべく
単簡
(
たんかん
)
に通俗な例で説明致します。普通用談の際は無論雑談の際でも、我々は
滅多
(
めった
)
に主観的な叙述を用いてはいないと思っています。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
用事は
固
(
もと
)
より
単簡
(
たんかん
)
であった。けれども細君の
諾否
(
だくひ
)
だけですぐ決定されべき性質のものではなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こうやって思い切って入院した方が、今考えて見るとやっぱり得策だったんでしょうか」などと聞くたびに院長は「ええまあそうです」ぐらいな
単簡
(
たんかん
)
な返答をした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
単簡
(
たんかん
)
なる猿股を発明するのに十年の長日月を
費
(
つい
)
やしたのはいささか
異
(
い
)
な感もあるが、それは今日から古代に
溯
(
さかのぼ
)
って身を
蒙昧
(
もうまい
)
の世界に置いて断定した結論と云うもので
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おや御前いつ
束髪
(
そくはつ
)
に
結
(
い
)
ったの」小間使はほっと一息ついて「
今日
(
こんにち
)
」となるべく
単簡
(
たんかん
)
な挨拶をする。「生意気だねえ、小間使の癖に」と第四の剣突を別方面から食わす。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は
凡
(
すべ
)
てを語るに約一時間余を費やした。その間に平岡から四遍程極めて
単簡
(
たんかん
)
な質問を受けた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ええ」を引き込める
訳
(
わけ
)
に行かなければ「ええ」を
活
(
い
)
かさなければならん。「ええ」とは
単簡
(
たんかん
)
な二文字であるが
滅多
(
めった
)
に使うものでない、これを活かすにはよほど骨が折れる。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然の二字をもって
単簡
(
たんかん
)
に律し去らないで、どのくらいの異分子が、どのくらいの割合で交ったものかを説明するようにしたら今日の
弊
(
へい
)
が救われるかも知れないと思います。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれどもこう
単簡
(
たんかん
)
に聞かれたときに、どうしてこの複雑な経過を、
一言
(
いちげん
)
で答え得るだろうと思うと、返事は容易に口へは出なかった。兄は封筒の中から、手紙を取り出した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いこう」と
単簡
(
たんかん
)
に降参する。彼が音楽会へ臨むのは生れてから、これが始めてである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
純文学と云えばはなはだ
単簡
(
たんかん
)
である。しかしその内容を論ずれば千差万別である。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先生は
単簡
(
たんかん
)
にただ「ええいらっしゃい」といっただけであった。その時分の私は先生とよほど懇意になったつもりでいたので、先生からもう少し
濃
(
こまや
)
かな言葉を予期して
掛
(
かか
)
ったのである。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この巡査は丸帯も
腹合
(
はらあわ
)
せもいっこう知らない。すこぶる
単簡
(
たんかん
)
な面白い巡査である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
画は
一輪花瓶
(
いちりんざし
)
に
挿
(
さ
)
した
東菊
(
あずまぎく
)
で、
図柄
(
ずがら
)
としては
極
(
きわ
)
めて
単簡
(
たんかん
)
な者である。
子規の画
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三度目にはこっちからとうとうその理由を反問しなければならなくなりました。彼らの主意は
単簡
(
たんかん
)
でした。早く
嫁
(
よめ
)
を
貰
(
もら
)
ってここの家へ帰って来て、亡くなった父の後を相続しろというだけなのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は
単簡
(
たんかん
)
に礼を述べた。母はまだ
室
(
へや
)
の入口に立っていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“単簡”の意味
《名詞・形容動詞》
簡単なこと。また、そのさま。
(出典:Wiktionary)
単
常用漢字
小4
部首:⼗
9画
簡
常用漢字
小6
部首:⽵
18画
“単簡”で始まる語句
単簡至極