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まえぶれ
ふりがな文庫
“
前触
(
まえぶれ
)” の例文
旧字:
前觸
しかも
田舎
(
いなか
)
教師の三吉としてはすくなからぬ高である。
前触
(
まえぶれ
)
も何もなく突然こういうものを手にしたということは、三吉を驚かした。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
帳場のぼんぼん時計が、
前触
(
まえぶれ
)
に
鍋
(
なべ
)
に物の焦げ附くような音をさせて、
大業
(
おおぎょう
)
に打ち出した。
留所
(
とめど
)
もなく打っている。十二時である。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして非常に恐しい事件の
前触
(
まえぶれ
)
のような気がします。悪くいけば、地球人類の上に、いまだ考えたことのないほどの、
禍
(
わざわい
)
が落ちてくるかもしれない。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
田中君はわざと
名古屋訛
(
なごやなまり
)
を
真似
(
まね
)
て
調戯
(
からか
)
っていた。女は御上手だ事とか、御上手やなとか、何とか云って
賞
(
ほ
)
めていた。ところが
前触
(
まえぶれ
)
のスキ焼はなかなか出て来ない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天地は再び
旧
(
もと
)
の
寂寞
(
せきばく
)
に
復
(
かえ
)
ったかと思うと、灰のような
細
(
こまか
)
い雪が音もせずに降って来た。
斯
(
こ
)
ういう
前触
(
まえぶれ
)
の気配を以て降って来た雪は、一丈に達せざれば止まぬのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
見たものの話でござりますが、これを一目の時、震え上って、すぐに地震、と
転倒
(
てんどう
)
いたしましたそうで、ここで誰も大地震の
前触
(
まえぶれ
)
を、
虚言
(
そらごと
)
とは思いませんようになりました。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こいつは少々
駈引
(
かけひき
)
があると米友がその時に思いましたのは、ほんとうに斬る気ならば
前触
(
まえぶれ
)
はないはずである、ところが刀を
往来中
(
おうらいなか
)
へころがして置いて、文句をつけに出るのだから
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一首の意は、
縦
(
たと
)
い千万の軍勢なりとも、彼此と言葉に云わずに、
前触
(
まえぶれ
)
などせずに、直ちに討取って来る武将だとおもう、君は、というので、威勢をつけて行を
盛
(
さかん
)
にしたものである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その青木が何の
前触
(
まえぶれ
)
もなく突然上京して、啓吉を訪ねて来たのである。
祝盃
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と先ず
前触
(
まえぶれ
)
が大層なり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
前触
(
まえぶれ
)
のあった百万遍を持込みましたろうではありませんか、座中の紳士貴婦人方、都育ちのお方にはお覚えはないのでありまするが、三太やあい、
迷
(
まい
)
イ
児
(
ご
)
の迷イ児の三太やあいと
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾年
振
(
ぶり
)
かで輝子夫婦が叔父に逢いに来ようという日には、谷中の義雄の方からも一緒に岸本の宿に集まろうという
前触
(
まえぶれ
)
があった。義雄は節子を連れて輝子達より
一歩
(
ひとあし
)
先に愛宕下へ来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その嬉しさが出た時、自分は風も雨も
海嘯
(
つなみ
)
も母も兄もことごとく忘れた。するとその嬉しさがまた
俄然
(
がぜん
)
として一種の恐ろしさに変化した。恐ろしさと云うよりも、むしろ恐ろしさの
前触
(
まえぶれ
)
であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いずれ返事をすると義雄の方から
前触
(
まえぶれ
)
のあったのがこれだ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
触
常用漢字
中学
部首:⾓
13画
“前”で始まる語句
前
前後
前途
前方
前垂
前刻
前様
前栽
前屈
前掛