“まえぶれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
前触68.4%
前令10.5%
予告5.3%
前兆5.3%
前振5.3%
前駆5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
帳場のぼんぼん時計が、前触まえぶれなべに物の焦げ附くような音をさせて、大業おおぎょうに打ち出した。留所とめどもなく打っている。十二時である。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
雨の前令まえぶれの穏かさ! 草の葉をそよがす風もない。何んとむしむしと暑いのだろう。旅人一人通っていない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かの山木に向かい近きに起こるべき活劇の予告まえぶれをなして、あらかじめ祝杯をあげけるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
また、前の年の秋頃から、時々、浅間山が噴火し、江戸の市中にうっすらと灰を降らせるようなこともあったので、旁々かたがた、何か天変の起る前兆まえぶれでもあろうかと、恟々きょうきょうたるむきも少くなかった。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
◯しかるにかくの如き前振まえぶれを以て勿体もったいらしく説き出されし真理なるものは、何ら貴きものでないのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
この古い家のしんとした空気は、暴風雨あらしのくる前駆まえぶれに似ている。……それもよかろう、土肥家の根太ねだも古すぎた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)