再建さいこん)” の例文
本堂を再建さいこんしたことや、その本堂が先代の時に焼けてしまったことや、この人の弟子に越前の永平寺えいへいじへ行った人があったことなどを話した。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「法隆寺に火がついたら、こゝをけるのや、と太子様が言やはりましたや。再建さいこんに要るだけのお金がちやんとめておますのやさうな。」
万事がとんとん拍子に行って、弁天堂を立派に再建さいこんするほどの景気になったんですが、与次郎の代りにお国というものが出来て、これが時々無心に来る。
半七捕物帳:21 蝶合戦 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とき幾多いくた民家みんか猶且やつぱり非常ひじやう慘害さんがいかうむつて、村落むらすべては自分じぶんしのぎがやつとのことであつたので、ほとんど無用むようであるれう再建さいこんかへりみるものはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と口々に云って、なお、再び江戸の旗本生活や伝統の再建さいこんを夢みていたが、露八は、その朝の太陽を仰いで
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門の前には竹矢来たけやらいが立てられて、本堂再建さいこんの寄附金を書連かきつらねた生々しい木札が並べられてあった。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
見ると五十両ではなくして八十両の包みがね表書うえには「本堂再建さいこん普請金、世話人萬屋源兵衞よろずやげんべえあずかる」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、二十年ばかりたつたのち、その霊廟を再建さいこんする際に頭蓋骨づがいこつだけゲエテに贈ることになつた。ゲエテは彼の机の上にこの旧友の頭蓋骨を置き、「シルレル」と題する詩を作つた。そればかりではない。
続澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
火災にも一度かかりまして、その再建さいこんにもずいぶん苦労いたしました。左様の次第で、寺の維持にも困難して居ります折り柄、役僧の延光から縛られ地蔵を勧められました。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
粂「金と云っては別にございませぬが、兄が此間こないだわたくしにしまって置けと預けた金がございます、それは本堂再建さいこんのため、世話人しゅのお骨折で、八十両程集りましたのでございます」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やつとのことで現今いまれう以前いぜん幾分いくぶんの一のおほきさに再建さいこんされるまでにはたな無残むざんのこぎりかゝつてたのである。それでも、老人等としよりら念佛ねんぶつ復活ふくくわつしたことに十ぶん感謝かんしや滿足まんぞくとをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
猫を葬った寺もその火事で焼けて、それっきり再建さいこんしないので、寺の名はよく判りません。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
此方こちらはまだ年が若いから、何の気も附かず、是は全くお梅から届けたものと心得て、前後あとさきの思慮も浅く、其の巾着の内へ、本堂再建さいこんの普請金八十両というものを盗み出して押込み
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)