-
トップ
>
-
優子
>
-
ゆうこ
優子不審しげに
打まもりて
八重は
何が
氣に
障つてか
思ひもよらぬ
怨み
言つもりて
見よかし
何の
隔てゞ
隱しだてをするものぞ
母さまにさへ
申さぬことも
遂ひに
話さぬ
時はなきを
涙に
袖の
色かはるまで
同じ
歎きを
別に
知る
主從の
思ひさても
果敢なし
優子はいとゞ
世を
思ひ
入る
路は一
ト筋なれと
夏引きの
手引きの
糸の
乱れぐるしきは
戀なるかや
優子元來才はじけならず
柔和しけれど
悧發にて
物の
道理あきらかに
分別ながら
闇らきは
晴れぬ
胸の
雲にうつ/\として
日を