何某殿なにがしどの)” の例文
「いかに方々かた/″\御前ごぜんまをし、何某殿なにがしどの御内室ごないしつをも一所いつしよ此中このなかまをさむか、雌雄つがひならでは風情ふぜいなくさふらふ」などと散々さん/″\
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ればよなとおもひながら、殊更ことさららずがほよそほひつゝ、主人あるじ御婦人ごふじんなるにや、さて何某殿なにがしどの未亡人びばうじんとか、さらずはおもひものなんどいふひとか、べつしてあたへられたる邸宅ていたくかとへば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此の頃にはかに其の影を見せぬは、必定函根はこねの湯気す所か、大磯おほいそ濤音なみおとゆるあたり何某殿なにがしどのと不景気知らずの冬籠ふゆごもり、ねたましの御全盛やと思ひの外、に驚かるゝものは人心
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
右の如くにしるありしかば住持ぢうぢ祐然いうねん書寫かきうつさせ其おくへ右之通り相違さうゐ御座なく候につき即ち調印てういん仕り候以上月日寺社じしや奉行何某殿なにがしどの奧書おくがきしたゝめさせ次右衞門是を受取うけとれば三五郎懷中くわいちうより金二十兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)