仕事着しごとぎ)” の例文
若い男女はこの日はみな新しい仕事着しごとぎで、たすきや白手しろてぬぐいの泥になるのもかまわず、朝は早天から田におりて、日の出にはもう田植唄たうえうたをうたっていた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ほんとうにおかあさんが、あすこにこしをかけていられる。仕事着しごとぎの、あのすがたで、こしをかけていられる。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふべき場合ばあひではないけれども、まことにてん美祿びろくである。家内かない一口ひとくちした。不斷ふだん一滴いつてきたしなまない、一軒いつけんとなりの齒科しくわ白井しらゐさんも、しろ仕事着しごとぎのまゝでかたむけた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
役所やくしよからかへつて、筒袖つゝそで仕事着しごとぎを、窮屈きゆうくつさうにへて、火鉢ひばちまへすわるやいなや、抽出ひきだしから一すんほどわざとあましてんであつた状袋じやうぶくろいたので、御米およねんで番茶ばんちや一口ひとくちんだまゝ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
古い絵をみると、はだかで大きな荷を負うた人もよく描いてあるが、たいていの荷物は突っ張ってごそごそするので、夏でもかるい子は荷摺にずりという半袖はんそでこしきりの仕事着しごとぎをきた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おじいさんは、ながあいだ自分じぶんにつけていた仕事着しごとぎ未練みれんしそうにぎながら
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)