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人樣
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ひとさま
此年をして
人樣の
口入れやら
手傳ひやら、
老耻ながらも
詮の
無き
世を
經まする、
左れども
當て
無しに
苦勞は
出來ぬもの、つく/″\お
前夫婦の
働きを
見るに
うぬ
勝手にな、
人樣に
迷惑を
懸けるもんぢやねえ。うめるな、
必ずうめるな。やい、こんな
湯へ
入れねえぢや、
父の
子とは
言はせねえ。
髯の
兒にたゝつくれるぞ、さあ、
入れ。
骨は
拾はい、
奴。
さし置てお光は
家主長助方へ赴き
貴君樣に
折入て
密々御願ひ申度一大事の出來候まゝ
態々參りしなり併し乍ら
人樣の前にては申し上難きことなれば
何卒内々にて
御相談願ひ上度と
言により長助は如何にも承知なりとて
早速自身の家内に向ひ其方は
何方なりとも少しの
間だ
行てを