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不慥
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ふたしか
ふりがな文庫
“
不慥
(
ふたしか
)” の例文
「
來年
(
らいねん
)
になれば、
安
(
やす
)
さんの
方
(
はう
)
で
何
(
ど
)
うか
都合
(
つがふ
)
して
上
(
あげ
)
るつて
受合
(
うけあ
)
つて
下
(
くだ
)
すつたんぢやなくつて」と
聞
(
き
)
いた。
小六
(
ころく
)
は
其時
(
そのとき
)
不慥
(
ふたしか
)
な
表情
(
へうじやう
)
をして
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし己はこんな事を書く積りで、日記を
開
(
あ
)
けたのではなかった。目的の
不慥
(
ふたしか
)
な訪問をする人は、
故
(
ことさ
)
らに
迂路
(
うろ
)
を取る。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
欲求は漠然にして不正確、希望は
確乎
(
かっこ
)
として正確である。あたかも男女間の思慕が初め欲求たる間は
不慥
(
ふたしか
)
なれど、
後
(
の
)
ち進みて婚約成立となりて初めて希望と化して、確実になるが如くである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
今はすべてが過去に化してしまった。再び眼の前に現れぬと云う
不慥
(
ふたしか
)
な点において、夢と同じくはかない過去である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
正確を
旨
(
むね
)
とする
几帳面
(
きちょうめん
)
な学者の記憶でも、記憶はこれほどに
不慥
(
ふたしか
)
なものである。「思い出す事など」の中に思い出す事が、日を
経
(
ふ
)
れば経るに従って色彩を失うのはもちろんである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「タイムスはたしかだが、僕のはすこぶる
不慥
(
ふたしか
)
だよ。これからがいよいよ巧妙なる詐偽に取りかかるのだぜ。よく聞きたまえ月十円ずつで六百円なら何年で
皆済
(
かいさい
)
になると思う、寒月君」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分が中途で
失敗
(
しくじ
)
ったから、せめて弟だけは物にしてやりたい気もあるので、この千円が尽きたあとは、またどうにか心配もできようしまたしてくれるだろうぐらいの
不慥
(
ふたしか
)
な希望を残して
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分
(
じぶん
)
が
中
(
なか
)
途
(
ちゆうと
)
で
失敗
(
しくじ
)
つたから、
責
(
せ
)
めて
弟丈
(
おとうとだけ
)
は
物
(
もの
)
にしてやりたい
氣
(
き
)
もあるので、
此
(
この
)
千
圓
(
ゑん
)
が
盡
(
つ
)
きたあとは、
又
(
また
)
何
(
ど
)
うにか
心配
(
しんぱい
)
も
出來
(
でき
)
やうし
又
(
また
)
して
呉
(
く
)
れるだらう
位
(
ぐらゐ
)
の
不慥
(
ふたしか
)
な
希望
(
きばう
)
を
殘
(
のこ
)
して、
又
(
また
)
廣島
(
ひろしま
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
小六はその時
不慥
(
ふたしか
)
な表情をして
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
慥
漢検1級
部首:⼼
14画
“不”で始まる語句
不可
不思議
不憫
不図
不味
不審
不埒
不幸
不愍
不相変