不安心ふあんしん)” の例文
けだ薄弱はくじやくなる人間にんげんは、如何いかなる場合ばあひにもおほくはおのれたのあたはざるものなるが、もつと不安心ふあんしんかんずるは海上かいじやうならむ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たびたびねつにうかされながら、わたしは寝台ねだいのすそで不安心ふあんしんらしい大きな目をわたしに向けているかの女を見た。
いまの自分の不安心ふあんしんをけどられやせまいかというような、あさはかなみえもあった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
自分の身の回りに起こるどんな小さなことも見のがさないアーサは、わたしの不安心ふあんしんらしい様子を見つけた。
しかし、ふのをしんじないで、わたしかせることを不安心ふあんしんおもふなら、提灯ちやうちんうへ松明たいまつかずふやして、鉄砲てつぱう持参じさんで、たいつくつて、喇叭らつぱいておさがしなさい、それ御勝手ごかつてです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひやつこく、宛然さながらあみしたを、みづくゞつてるやう、砂地すなぢつてても身體からだゆらぎさうにおもはれて、不安心ふあんしんでならぬから、なみおそふとすた/\とあと退き、なみかへるとすた/\とまへすゝんで
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現在げんざいさえも不安心ふあんしんでたまらないのが当たり前だ。