イチ)” の例文
水の神の贄として、早処女サヲトメが田の中へ生き埋めになつた物語、及び其が形式化して「イチの早処女」を、泥田の中に深く転ばす行事がある。
河童の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「ぢや、お前のイチを取つて英一とするか? だがそれぢや弟の英二郎とオンがつくからな?」
父を売る子 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
家郷追放カキョウツイホウ吹雪フブキナカツマトワレ、三人サンニンヒシトイ、サダマラズ、ヨロヨロ彷徨ホウコウ衆人蔑視シュウジンベッシマトタル、誠実セイジツ小心ショウシン含羞ガンシュウ、オノレノヒャクウツクシサ、イチズ、高円寺コウエンジウロウロ
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ラジオが叫ぶイチサンンの号令に合わせて、課長は巨体をブンブンと振って、ラジオ体操を始めた。彼は何とはなしに、子供のような楽しさと嬉しさとがはらの底からこみあげて来るのを感じた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「もゝつたふ」の歌、殘された飛鳥の宮の執心シフシンびと、世々の藤原のイチの媛に祟る天若みこも、顏清く、聲心惹く天若みこのやはり、一人でおざりまする。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
ユウを取るのとイチを取るのと、どつちが縁起が好いだらう?」
父を売る子 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「もゝつたふ」の歌、殘された飛鳥の宮の執心シフシンびと、世々の藤原のイチの媛に祟る天若みこも、顏清く、聲心惹く天若みこのやはり、一人でおざりまする。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「もゝつたふ」の歌、残された飛鳥の宮の執心シフシンびと、世々の藤原のイチヒメタタる天若みこも、顔清く、声心く天若みこのやはり、一人でおざりまする。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
高野博士は、昔から鏡板の松を以て、奈良のオン祭の中心になる——寧、田楽の中門口の如く、出発点として重要な——イチの松をうつしたものだ、とせられてゐました。
翁の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)