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ひとこと
ふりがな文庫
“
一語
(
ひとこと
)” の例文
「
余
(
あんま
)
り
酷
(
ひど
)
すぎる」と
一語
(
ひとこと
)
僅
(
わず
)
かに
洩
(
もら
)
し得たばかり。妻は涙の泉も
涸
(
かれ
)
たか
唯
(
た
)
だ自分の顔を見て血の気のない
唇
(
くちびる
)
をわなわなと
戦
(
ふる
)
わしている。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
お前が仕合せになる道として選んだのならお父様も決してお前を妨げようとはしないから、
一語
(
ひとこと
)
だけハッキリと教えておくれ。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
街路に立って見る市民の中には
一語
(
ひとこと
)
熱狂した叫び声を発するものもなかった。いずれも皆静粛な沈黙を守って馬上の壮丁を見送るもののみであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
芹沢が、お松を見つけて
苛
(
いじ
)
めつけているのを、さいぜんから見もし聞きもしていながら、今になってただ
一語
(
ひとこと
)
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いえ、私の番頭に今一寸
一語
(
ひとこと
)
か
二語
(
ふたこと
)
云ってやることが出来たらとそう思ったので、それだけですよ。」
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
▼ もっと見る
「御経を
承
(
うけたま
)
わり申した嬉しさに、せめて
一語
(
ひとこと
)
なりとも御礼申そうとて、
罷
(
まか
)
り
出
(
いで
)
たのでござる。」
道祖問答
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
睨むようにいったけれど、また、抱き込んで、頬へ頬をつけながら、たッた
一語
(
ひとこと
)
、こういった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
偶然話の合間に云われた
一語
(
ひとこと
)
に執してものを云うとなれば意地わるのようでもあるが、それでも私には何だかこの若いひとの一語とそれの云われた態度とはつよい感銘であった。
女の歴史:そこにある判断と責任の姿
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
話しながら絶えず身体をゆすぶり、
一語
(
ひとこと
)
一語
(
ひとこと
)
に手招ぎするような風に手を動す癖がある。
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女は
一語
(
ひとこと
)
も言はず、面も背けたるままに、その手は
益
(
ますます
)
放たで男の行く
方
(
かた
)
に歩めり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
吉里は
一語
(
ひとこと
)
も
吐
(
だ
)
さないで、
真蒼
(
まッさお
)
な顔をしてじッと平田を見つめている。平田もじッと吉里を見ていたが、堪えられなくなッて横を向いた時、仲どんが
耳門
(
くぐり
)
を開ける音がけたたましく聞えた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
月影はこんもりとこの
一群
(
ひとむれ
)
を
映
(
てら
)
している、人々は
一語
(
ひとこと
)
を発しないで耳を傾けていた。今しも一曲が終わったらしい、
聴者
(
ききて
)
の三四人は立ち去った。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これから捨吉が教えに行こうとする麹町の学校は高輪の浅見先生の先の細君が
礎
(
いしずえ
)
を遺して死んだその形見の事業であるということなぞを聞取った後で、
一語
(
ひとこと
)
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
色々お
詑
(
わび
)
は為る
意
(
つもり
)
でも、かうしてお目に掛つて見ると、
面目
(
めんぼく
)
が無いやら、悲いやらで、何
一語
(
ひとこと
)
も言へないのですけれど、貫一さん、とても私は来られる
筈
(
はず
)
でない処へかうして来たのには
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
吉里は
一語
(
ひとこと
)
も
発
(
い
)
わぬ。見向きもせぬ。やはり箪笥にもたれたまま考えている。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
全身から嘆息をもらすように、秀吉の方からやがて
一語
(
ひとこと
)
いった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千代子の耳には亀戸といふ
一語
(
ひとこと
)
が意味あり気に響いたらしい。
にぎり飯
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『隠せ。』——戒はこの
一語
(
ひとこと
)
で尽きた。しかし其頃はまだ無我夢中、『
阿爺
(
おやぢ
)
が何を言ふか』位に聞流して、唯もう勉強が出来るといふ嬉しさに家を飛出したのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
千代子の耳には亀戸という
一語
(
ひとこと
)
が意味あり気に響いたらしい。
にぎり飯
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
始めたぜ。あの人も相変らずよく来てるじゃアないか。あんまりわれわれに負けない方だ。迷わせておいて、今さら厭だとも言えまい。うまい言の
一語
(
ひとこと
)
も言ッて、ちッたあ可愛がッてやるのも
功徳
(
くどく
)
になるぜ
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「もし、相良様——、もし、もう
一語
(
ひとこと
)
」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
というのは、柱に
倚
(
もた
)
れての
御独語
(
おひとりごと
)
でした。浮気な歓楽が奥様への置土産は、たったこの
一語
(
ひとこと
)
です。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お千絵の防ぎは、この
一語
(
ひとこと
)
であった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は写真の中で見てさえマブしいような義雄兄の前に自分を持って行って見た。
一語
(
ひとこと
)
世話を頼むとも言えずに子供を置いて逃出して来た
嫂
(
あによめ
)
の前に自分を持って行って見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「違う! ……」と、ぽッつり
一語
(
ひとこと
)
。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お前の方はそうでも、
俺
(
おれ
)
の方はそうは行かない」——その断りが
一語
(
ひとこと
)
言えないような位置に立って、茶の間に居る宿の
主婦
(
かみさん
)
から台所の方に働く女中等の聞いているところで
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「刀——と
一語
(
ひとこと
)
いったようだが」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あゝ、父は丑松の為に『忘れるな』の
一語
(
ひとこと
)
を残して置いて、最後の呼吸にまで其精神を言ひ伝へて、斯うして牧場の土深く埋もれて了つた——もう
斯世
(
このよ
)
の人では無かつたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
唯、蓮太郎夫婦に出逢つたこと、別れたこと、それから飯山へ帰る途中川舟に乗合した高柳夫婦——
就中
(
わけても
)
、あの
可憐
(
あはれ
)
な美しい穢多の女の身の上に就いては、決して
一語
(
ひとこと
)
も口外しなかつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
“一語”の意味
《名詞》
一つの語(単語、語句)。ひとこと。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
語
常用漢字
小2
部首:⾔
14画
“一語”で始まる語句
一語勢
一語々々
一語一語