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くわしつ
最も
便よきは
年こそ
取つたれ、
大根も
引く、
屋根も
葺く、
水も
汲めば
米も
搗く、
達者なればと、この
老僕を
擇んだのが、
大なる
過失になつた。
途中に
事故があつて、
着の
時間が
珍らしく三十
分程後れたのを、
宗助の
過失でゞもあるかの
樣に、
待草臥れた
氣色であつた。
彼は
胸を
抑えつける
一種の
壓迫の
下に、
如何にせば、
今の
自分を
救ふ
事が
出來るかといふ
實際の
方法のみを
考へて、
其壓迫の
原因になつた
自分の
罪や
過失は
全く
此結果から
切り
放して
仕舞つた。