感心かんしん)” の例文
「やあ、きれいだな。あおあかやでぬったごもんがあって、龍宮りゅうぐうってこんなきれいなところかなあ。」と、次郎じろうさんは感心かんしんしていました。
きれいなきれいな町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
矢張やは歴史れきし名高なだか御方おかただけのことがある。』わたくしこころなかひとりそう感心かんしんしながら、さそわるるままに岩屋いわや奥深おくふかすすりました。
いま一人ひとり此処こゝるさうぢやが、お前様まへさま同国どうこくぢやの、若狭わかさもの塗物ぬりもの旅商人たびあきうど。いやをとこなぞはわかいが感心かんしん実体じつていをとこ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
思ひ付お兼にむかひ扨々其方の智慧ちゑの程感心かんしんせり其はたらきにては女房にしても末頼母敷もしく思ふなり夫について爰に一ツの相談あり夫婦の中に隱しへだて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
感心かんしんして、きかけたかたなっこめてしまいました。そしてそれからはまったく義家よしいえになついて、一生いっしょうそむきませんでした。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宗助そうすけとかうたとかいふものには、もとからあま興味きようみたないをとこであつたが、どうわけこのんだとき大變たいへん感心かんしんした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それでも感心かんしんなことには、畫板ぐわばんむかうと最早もはや志村しむらもいま/\しいやつなどおもこゝろえてはうまつたこゝろられてしまつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
おやこれツちやまらつしやいまし、アハヽまアお可愛かあいらしいこと、いえうも親方おやかたおどろいてましたし、表方おもてかたの者もみな感心かんしんをしてえるんで
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし、それらの人々ひとびとなかにも、これをよんでいくうちに、諭吉ゆきちのかたよらないかんがえかたや、ただしい意見いけん感心かんしんしてくるものもでてきました。
わたしはいまでもこのことだけは、感心かんしんだとおもつてゐるのです。わたしと二十がふむすんだものは、天下てんかにあのをとこ一人ひとりだけですから。(快活くわいくわつなる微笑びせう
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なべとはよくをつけたと、おいらァつくづくあいつの、親父おやじ智恵ちえ感心かんしんしてるんだが、それとちがっておせんさんは、弁天様べんてんさま跣足はだしおんなッぷり。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わたくしだつて、其樣そんな無鐵砲むてつぽうことはない、この工夫くふうは、大佐閣下たいさかくか仲々なか/\巧妙うまい感心かんしんなすつたんです。』と意氣いき昂然こうぜんとして
たいていの農家のうかが、白塗しろぬりの大きな二階建かいだてでした。どの家も、いかにもりっぱに見えるので、ニールスは感心かんしんして
その日本部につぽんぶには日本につぽんにおいてさへられないようなふる美術品びじゆつひんもあり、日本につぽん建築けんちくとこのようなものをつくつて、陳列ちんれつしてあるのには感心かんしんされます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それはそれは感心かんしんはふかおそろしいほどで、特別認可とくべつにんか卒業そつげう間際まぎはまできずなしにつてのけたを、しいことにおまへ腦病のうびやうつたではからうか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、感心かんしんなことにだれもいやなかおをしなかった。ぼくらはびっこをひきひき深谷ふかだにまでゆき、おじいさんをかえしてた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたくし貴方あなたすべてを綜合そうがふする傾向けいかうつてゐるのを、面白おもしろかん敬服けいふくいたしたのです、また貴方あなたいまべられたわたくし人物評じんぶつひやうは、たゞ感心かんしんするほかりません。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いくらかわらまじりにこたへられながらも、さすがにばくちきな支那人しなじんだ、おそろしくつた、洒落しやれもの使つかふなアぐらゐにほとほと感心かんしんしてゐたやうな程度ていど
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
A ラヴレターならむかしから、うまんだら七駄半だはんなんて先例せんれいがあるんだけれど、母親はゝおや毎日まいにちかさずはまつた感心かんしんだね。けだ葉書利用法はがきりようはふ最上乘さいじやうじようなるものかね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
美濃守殿みののかみどののことから、其方そち潔白けつぱくいて、ひどく感心かんしんしたのだつたな。まつた其方そち卑劣ひれつな、強慾がうよくな、恥知はぢしらずの人間にんげんばかりおほ土地とちで、めづらしい潔白けつぱく高尚かうしやう人間にんげんだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
やがてそれがハラハラと四方に飛散するさまは、あたかも線香花火のきえるようであった、雨はしのつかねてなぐる如きドシャ降り、刻限は午前二時だ、僕ならずとも誰でもあまり感心かんしんはしまい。
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
「やっぱり竜宮りゅうぐうみたいなところもあるなあ。」と感心かんしんしたりしました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
二宮が、感心かんしんのていで、口を出す。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
感心かんしんするほど上手じやうず技倆てなみ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ほかとりたちは、からすの勇気ゆうき感心かんしんしました。いままで、ばかにされたからすが、いちばんりこうなとりといわれるようになりました。
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
谷川たにがはからあがつてさしつたとき手足てあしかほひとぢやから、おらあ魂消たまげくらゐ、お前様まへさまそれでも感心かんしんこゝろざし堅固けんごぢやからたすかつたやうなものよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちょうどそのとき、このお屋敷やしきにその時分じぶん学者がくしゃ名高なだかかった大江匡房おおえのまさふさという人が来合きあわせていて、やはり感心かんしんしていていましたが、かえりがけに一言ひとこと
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それがふくれると自然しぜん達磨だるま恰好かつかうになつて、好加減いゝかげんところ眼口めくちまですみいてあるのに宗助そうすけ感心かんしんした。其上そのうへ一度いちどいきれると、何時いつまでふくれてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
真黒まっくろけたからだおどくるわせてみずくぐりをしているところはまるで河童かっぱのよう、よくあんなにもふざけられたものだと感心かんしんされるくらいでございます。
外記は否々いや/\一通り聞たる上相計らはんと屋敷へ連歸り委細ゐさいを聞たゞし三五郎が忠義を感心かんしんなし家來を付て理左衞門方へ遣はし此者儀は忠義者ゆゑ能々よく/\吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私が「和解」を非常ひじやうに傑れた作品さくひんだと主張するに反して、井汲や小島は「和解」を餘り感心かんしんしてゐないのです。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おや兄弟きやうだいもないぼくには、こんなばんすこぶ感心かんしんしないので、おまけに下宿住げしゆくずまひ所謂いはゆる半夜燈前十年事、一時和雨到心頭といふ一けんだから堪忍たまつたものでない
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わたくし貴方あなたすべてを綜合そうごうする傾向けいこうをもっているのを、面白おもしろかんじかつ敬服けいふくいたしたのです、また貴方あなたいまべられたわたくし人物評じんぶつひょうは、ただ感心かんしんするほかはありません。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此後このご東京とうけうひろしといへども、山村やまむら下女げぢよものはあるまじ、感心かんしんなもの、美事みごとこゝろがけとめるもあれば、だい容貌きりやうが申ぶんなしだと、をとこきにこれをひけり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「はッはッはッ。これがうわさたか土平どへいだの。いやもう感心かんしん感心かんしん。こののどでは、文字太夫もじだゆう跣足はだしだて」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
これは立派りつぱなお姿すがただと感心かんしんして、佛教ぶつきようしんずるものもおほ出來できたのですが、そのうち日本につぽんでも佛像ぶつぞうつくるようになり、それから百年ひやくねんもたゝない奈良朝ならちようごろになつては
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
大層たいそう感心かんしんしましてじつ恐入おそれいつたものだ、中々なか/\アヽところ商売人しやうばいにんだつて容易よういくもんぢやアないとひました、何卒どうぞ打出はねましたらと三がいらつしやいまして
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ほんのわづかな藥禮やくれいけて、見立みたきをしたゝめたとき、じつ感心かんしんしたのだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
じいさんははこをとめました。そして「なになに。」といいながら、こしをのばしてふだみはじめました。んでしまうと、「なアるほど、ふふウん、なアるほど。」と、ひどく感心かんしんしました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
B まだういふのがあるよ。矢張やはぼく友人いうじんだが、くに母親はゝおやがひとりでさびしがつてゐるとつて、毎日まいにちまいづつ繪葉書ゑはがきしてゐるが、モウそれを三四年間ねんかんにちかさずやつてるから感心かんしんだらう。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
「それは感心かんしんですね。このあいだの教員会議きょういんかいぎのときに、この学校がっこうにも託児所たくじしょもうけたらという、先生せんせいがたのご意見いけんたのですよ。」
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふ、宗桂そうけいのあしらひより、番太郎ばんたらう桂馬けいまはうが、えらさうにえるならはしで、おくみ感心かんしんしたらしかつた。もさうずと千助せんすけ益々ます/\附入つけいる。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なるほど評判ひょうばんとおり、頼政よりまさ武芸ぶげい達人たつじんであるばかりでなく、和歌わかみちにもたっしている、りっぱな武士ぶしだと、天子てんしさまはますます感心かんしんあそばしました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ゆるし下されと幼年に似合にあはず思ひ入たる有樣ありさまに聞居る名主をはじ村中むらぢうの者は只管ひたすら感心かんしんするより外なく皆々口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その仕方しかたもいろいろかされたが、ぼく如何いかにも支那人式しなじんしきだなと一ばん感心かんしんし、おそるべしとおもつたのは
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
アンドレイ、エヒミチはいまはじめていたが、ミハイル、アウエリヤヌヰチはさき大地主おほぢぬしつたときの、あま感心かんしんせぬ風計ふうばかりがいまのこつてゐるとふことを。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
『あなたはまあなんという結構けっこうことばかりしてられたことでしょう‼』とははこころから感心かんしんしました。
それをなまじつかいま歌人うたよみたのんでつくらしたところでありふれた、初日はつひうたなどは感心かんしんしないぜ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのなかわたしがはひつてくと、陳列棚ちんれつだなかげほう一人ひとり少年しようねんがゐて、手帳てちようしていつしょう懸命けんめいたものについて筆記ひつきしてゐました。わたしはこの少年しようねん熱心ねつしんさに感心かんしんしたので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これで烟草たばこでもつてとつて、鼻藥はなぐすり次第しだいさ、あれがおまへ素人しろうとだから感心かんしんだとめるに、素人しろうと素人しろうと生無垢きむくむすめあがりだとふではいか、旦那だんなとは十何年なんねんなか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)