命令めいれい)” の例文
わしはその前刻さつきからなんとなくこの婦人をんな畏敬ゐけいねんしやうじてぜんあくか、みち命令めいれいされるやうに心得こゝろえたから、いはるゝままに草履ざうり穿いた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これはまったくの一大事いちだいじですから、殿様は国中に命令めいれいを下して、盗人ぬすびとを探させましたが、どうしても見つけることが出来ませんでした。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
むじゃきな子供こどもたちも、先生せんせいきゅうにあらたまって命令めいれいするので、どんなえらいかたたちだろうかと、そらおそろしいようなかんじがしました。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
丁度ちょうどこえたかめて命令めいれいなどはけっしていたさぬと、たれにかちかいでもてたかのように、くれとか、っていとかとはどうしてもえぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
老人ろうじん命令めいれいするような調子で言った。「どろぼうは仲間なかまをはずれて、すみに行かなければならんぞ。夕食なしにねむらなければならんぞ」
「かしこまりました。ありがたい思召おぼしめしでございます。工作の方のものどもはもう万一まんいち命令めいれいもあるかと柏林かしわばやし測量そくりょうにとりかかっております」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかしそれは怎的どうでもいゝといふなぐりではなくて、すべてがおしなたいして命令めいれいをするには勘次かんじこゝろあまはばかつてたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ですからことわざは、命令めいれい意義いぎから、だん/\變化へんかして、社會的しやかいてき訓戒くんかいあるひは、人間にんげんとしてのこゝろがけをくといふ方面ほうめんに、意味いみ變化へんかしてました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
まほう使はこう言いながら、おまもりだといって、まほうの指輪ゆびわをアラジンの指にはめてくれました。そして、すぐに出かけるようにと命令めいれいしました。
斯樣かやう事柄ことがらを一々まをせばかぎりのないことで、居家處世きよかしよせいうへ種々しゆ/″\間違まちがひおほく、さればとつて、これを一々前以ぜんもつ命令めいれいするといふは實際じつさいおこなはれがたことであるから
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
あたま徃來わうらいとほるものは、無限むげん無數むすう無盡藏むじんざうで、けつして宗助そうすけ命令めいれいによつて、まることやすこともなかつた。らうとおもへばおもほど滾々こん/\としていてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
歸營きえいしてから三日目かめあさだつた。中隊教練ちうたいけうれんんで一先ひとま解散かいさんすると、分隊長ぶんたいちやう高岡軍曹たかをかぐんそう我々われわれ銃器庫裏ぢうきこうらさくら樹蔭こかげれてつて、「やすめつ‥‥」と、命令めいれいした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「これはどうしたことだ。わしは手紙に、まるでちがった命令めいれいを書いておいたはずだが。」
こと小形こがたの「フランネル」の水兵服すいへいふくを、裁縫係さいほうがゝり水兵すいへいめいずるやら、いろ/\取計とりはからつてれる、其間そのまに、大佐たいさより命令めいれいのあつた吾等われら居室ゐま準備じゆんび出來できたので、其處そこみちびかれ
花前はときどきあたまを動かすだけで一ごんもものをいわない。技師先生心中しんちゅう非常に激高げっこう、なお二言三言、いっそう権柄けんぺい命令めいれいしたけれど、花前のことだから冷然れいぜんとして相手あいてにならない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
政府もし英国の要求を聞入ききいれざるにおいては仏国は英と同盟してただち開戦かいせんおよぶべしとせまりたるがごとき、いずれも公使一個のかんがえにして決して本国政府の命令めいれいに出でたるものと見るべからず。
井口警部いぐちけいぶは、するど部下ぶか命令めいれいした。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
かんがえてごらんなさい。命令めいれい服従ふくじゅうしかないところに、いったい、なごやかさなどというものがありましょうか。」と、あには、こたえました。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、おまえたちとわかれるのはまったくつらい」とかれは言った。「けれど裁判所さいばんしょから支払しはらいをしろという命令めいれいを受けた。 ...
けつして心服しんぷくつかまつらじ、しかするときもく命令めいれいおこなはれで、そむものきたらむには、かへつ國家こくからんとならむこと、憂慮きづかはしくさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ですから、となごと全體ぜんたいが、もと命令めいれい意味いみつてゐました。そのなが命令めいれい言葉ことばのうちに、それをしつめたものが出來できたことは、すでまをしました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「石になるとは。そいつはあんまりひどすぎる。おおい。梨の木。木のまんまでいいんだよ。けれども仲々なかなか人の命令めいれいをすなおに用いるやつらじゃないんです。」
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それは気力きりょくと、権力けんりょくにおける自信じしんとがりぬので。命令めいれい主張しゅちょう禁止きんし、こううことはすべかれには出来できぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
清潔好きれいずきかれ命令めいれいされるまでもなく、にはにぽつちりでもくさえればむしらずにはられない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「大臣の息子をこの家からつれ出して、朝まで外で待たしておけ。」と、命令めいれいしました。
この打合うちあはせがをはると、大佐たいさ命令めいれいで、輕氣球けいきゝゆう海岸かいがん砂上しやじやう引出ひきいだされ、水素瓦斯すいそがす充分じふぶん滿たされ、數日分すうじつぶん食料しよくれうと、飮料水いんれうすいと、藥品やくひん買入かひいれや、船舶せんぱく雇入やとひいれのめにつひや
それをまもつくのは至極しごく結構けつかうでありますが、如何いかにせん無味乾燥むみかんさうなる一ぺん規則きそくでは銘々めい/\好都合かうつがふわからず、他人たにんから命令めいれいされたことのやうにおもはれて、往々わう/\規則きそく忽諸こつしよにするのふうがある。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
と、俄然がぜん先生せんせい命令めいれいは、長吉ちょうきちあたまうえちたのであります。かれみみけるようにあつくなって、きゅうのぼってかお赫々かくかくとなりました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしはカピがそうして、いやいやわたしの命令めいれいしたがいながらも、ゼルビノとの格闘かくとうにわざと負けてやったことがわかった。
はたもくしんずるものすくなければ、その命令めいれいおこなはれじ、をりもがなあれかしと時機じきいたるを待給まちたまひぬ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょう命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたしの叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
命令めいれい主張しゆちやう禁止きんし恁云かういことすべかれには出來できぬ。丁度ちやうどこゑたかめて命令めいれいなどはけつしていたさぬと、たれにかちかひでもてたかのやうに、れとか、つていとかとは奈何どうしてもへぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
神樣かみさままをげるかたは、たふとくもありまた、おそろしくもあるかたで、われ/\の祖先そせんにおつしやつた言葉ことばは、祖先そせんひとたちがおそつゝしんでうけたまはり、實行じつこうしなければならない命令めいれいでありました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
おうさまの命令めいれいによって、そのうらなしゃは、されました。うらなしゃは、やまのぼって、かねのそばにすわって、いのりをささげたのでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
権力けんりょくを代表せられる令名れいめい高き閣下かっかは、わたくしの一座いちざ俳優はいゆうどもに、口輪くちわをはめろというご命令めいれいでございますか」
なによりもつとがたいのは晩飯ばんめし支度したくむと、たちまあかり行燈あんどうへて、薄暗うすぐらところでおやすみなさいと命令めいれいされるが、わたしけるまでることが出来できないから、其間そのあひだ心持こゝろもちといつたらない
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聖像せいざう代診だいしんみづかつて此所こゝけたもので、毎日曜日まいにちえうびかれ命令めいれいで、だれ患者くわんじや一人ひとりが、つて、こゑげて、祈祷文きたうぶんむ、れからかれ自身じしんで、各病室かくびやうしつを、香爐かうろげてりながらまはる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なるほど、上手じょうずいてあるとみえて、いずれもかるく、しかも手際てぎわよく薄手うすでにできている。これならば、こちらに命令めいれいをしてもさしつかえあるまい。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれどわたしはさっそく、自分でもひどくゆかいな、命令めいれいのくせを出して、かれに「おだまり」と命令した。
何事なにごとらず改革奉行かいかくぶぎやう命令めいれいそむさふらふまじく、いづれも杢殿もくどの手足てあしとなりて、相働あひはたらき、忠勤ちうきんはげ可申候まをすべくさふらふと、澁々しぶ/\血判けつぱんして差上さしあぐれば、御年役おんとしやく一應いちおう御覽ごらんうへ幸豐公ゆきとよぎみまゐらせたまへば、讀過どくくわ一番いちばん
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この聖像せいぞう代診だいしんみずかってここにけたもので、毎日曜日まいにちようびかれ命令めいれいで、だれ患者かんじゃ一人ひとりが、って、こえげて、祈祷文きとうぶんむ、それからかれ自身じしんで、各病室かくびょうしつを、香炉こうろげてりながらまわる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「よし。」と、命令めいれいすると、ジョンは、すぐに主人しゅじんのいったあしあとをさがして、ボールをりにいきました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは名誉欲めいよよくつよひとのことです。わたしうえからの命令めいれいで、戦争せんそうにやらされ、まれもつかぬ不具者ふぐしゃとなってかえりました。しかし、自然しぜんは、いつても平和へいわうつくしい。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、みんな、おじいさんを御輿みこしなかれてあげるのだ。」と、子供こどもは、おおきなこえ命令めいれいくだしますと、みんなは、に、に、っている提燈ちょうちんりかざして
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
学校がっこうごっこをしようや、さあ、ここへならんで。」と、三ちゃんは命令めいれいをしました。けれど、みんなは、まだ学校がっこうがっていないので、よくっておりません。
日の当たる門 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、このむらの三げん酒倉さかぐらだけにはどくはいっているが、ほかはどくはいっていないとげました。これをいた大将たいしょうかんがえていましたが、やがてみんなに命令めいれいくだして
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、これから音楽おんがくをやってゆくのだ。」と、れい子供こどもは、また、みんなに命令めいれいをしました。
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ジョン、まりをさがしておいで。」と、すぐ命令めいれいをしました。ジョンは、かけていきました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつもうえのほうにいて、命令めいれいするものだと、おもっているから、きゅうに、いっしょになって、わらったり、はなしたりすることができぬのです。おそらく、大衆たいしゅうが、そうでしょう。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、今年ことしふゆおどりおさめに、みんながうたって、さわいでくれ。」と、一人ひとりかみ命令めいれいすると、かぜは、凱歌がいかをあげ、いく百千まんなみは、をたたいて乱舞らんぶし、黒雲くろくもは、かみなりらして
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)