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きじょ
ふりがな文庫
“
鬼女
(
きじょ
)” の例文
渠
(
かれ
)
は床几を立つ。人々お沢を
抱
(
だき
)
すくめて床几に
載
(
の
)
す。黒髪高く乱れつつ、
一本
(
ひともと
)
の杉の
梢
(
こずえ
)
に火を
捌
(
さば
)
き、
艶媚
(
えんび
)
にして
嫋娜
(
しなやか
)
なる一個の
鬼女
(
きじょ
)
、すっくと立つ——
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
絵にかいた
鬼女
(
きじょ
)
のような顔をして、黙ってはいって来たかと思うと、だしぬけに台所へかけ込んで、出刃庖丁を持ち出して来て、先生に切ってかかりました。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
誰の作かわからないが、時代は室町ではない、少なくも鎌倉期の作品であって、やはり能につかわれた物らしく、
鬼女
(
きじょ
)
の顔が、すごいほど
鑿
(
のみ
)
の先で彫り出されている。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その文に
曰
(
いわ
)
く(中略)貴嬢の朝鮮事件に
与
(
くみ
)
して一死を
擲
(
なげう
)
たんとせるの心意を察するに、葉石との交情旧の如くならず、他に婚を求むるも
容貌
(
ようぼう
)
醜矮
(
しゅうわい
)
突額
(
とつがく
)
短鼻
(
たんび
)
一目
(
いちもく
)
鬼女
(
きじょ
)
怪物
(
かいぶつ
)
と
異
(
こと
)
ならねば
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
噂
(
うわさ
)
にきくと、加茂川の
水上
(
みなかみ
)
のみぞろが池には、
鬼女
(
きじょ
)
が住むという噂があって、人の近よらないのをよいことにして、多能丸という
大盗棒
(
おおどろぼう
)
が立派な邸を作って住んでおるということじゃ。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
般若とは
六波羅蜜
(
ろくはらみつ
)
の最後の知恵と申すことで、この上もなく
尊
(
たっと
)
い言葉でございますそうですが、それが、どうして恐怖と嫉妬を現わす
鬼女
(
きじょ
)
の面の名となりましたか、不思議な因縁でございます
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
神職 いや、
蒼
(
あお
)
ざめ果てた、がまだ人間の
婦
(
おんな
)
の
面
(
つら
)
じゃ。あからさまに、
邪慳
(
じゃけん
)
、陰悪の相を顕わす、それ、その
般若
(
はんにゃ
)
、
鬼女
(
きじょ
)
の面を被せろ。おお、その通り。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前後を照らす明りをうけた盛観は、むしろ
夜行
(
やぎょう
)
の
鬼女
(
きじょ
)
の
群
(
むら
)
がりかとも凄かったのです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一条戻り橋にあらわれたという
鬼女
(
きじょ
)
のように、彼女は薄絹の
被衣
(
かつぎ
)
を
眉深
(
まぶか
)
にかぶって、屋形の四足門からまだ半町とは踏み出さないうちに、暗い木の蔭から一人の大きい男が
衝
(
つ
)
と出て来て
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鬼女
(
きじょ
)
が炎をふくように言い捨てました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雨の
滴々
(
したたり
)
しとしとと屋根を打って、森の暗さが
廂
(
ひさし
)
を通し、
翠
(
みどり
)
が黒く
染込
(
しみこ
)
む絵の、
鬼女
(
きじょ
)
が投げたる
被
(
かずき
)
を
背
(
せ
)
にかけ、わずかに
烏帽子
(
えぼし
)
の
頭
(
かしら
)
を
払
(
はら
)
って、
太刀
(
たち
)
に手をかけ、腹巻したる
体
(
たい
)
を
斜
(
なな
)
めに
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
演伎座の興行は六月かぎりで、七月にはこの一座に猿之助が加わって、
新富座
(
しんとみざ
)
で開演することになった。このときに新蔵は「鍋島猫騒動」の
伊東左右太
(
いとうそうだ
)
と、「
紅葉狩
(
もみじがり
)
」の
鬼女
(
きじょ
)
をつとめたのである。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“鬼女”の意味
《名詞》
鬼女(きじょ)
女の姿形をした鬼。
1 の様な女性。
(出典:Wiktionary)
“鬼女”の解説
鬼女(きじょ)は、日本の伝承における女性の鬼。
(出典:Wikipedia)
鬼
常用漢字
中学
部首:⿁
10画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“鬼女”で始まる語句
鬼女面